転職、夜逃げ、そしてリフォーム会社の起業
——リフォーム業界に入られたきっかけは?
前田 学校卒業後、マツダに入社して海外サービス部門に在籍していましたが、自分の将来像が見えない気がして3年で退職、求人を探して転職した先がたまたまリフォーム会社でした。
ところが、その会社は有名タレントをCMに起用して派手な宣伝を行うものの、お客様の意向などおかまいなしで、営業マンは売りっぱなし、現場は職人さんに任せっぱなし。「リフォーム業界は、なんていい加減なんだ」と大いに失望しましたね。
その後、同じ会社にいた唯一話の分かる先輩が独立するにあたって声をかけられ、ついて行くことに。そこでは私自身が工事のことをもっと学ぶ必要があると考え、前の会社では経験できなかった作業着を着て現場を回ることからスタートしました。
最初は職人さんに「ちょっと垂木を持ってきて」と言われても、並垂木と平垂木の区別もわかりません。職人さんを捕まえては、ひとつひとつ教えていただき、現場監督兼営業としての知識を身に着けることができました。
——第一歩を踏み出されたわけですね。それから起業に至る経緯は?
前田 1年くらい経って仕事に手応えを感じはじめた新年の仕事始めの日のことです。出社すると事務所の荷物がなくなり、もぬけの殻でした。社長である先輩が夜逃げしていたんです。
一社員であった私が職人さんたちに取り囲まれ、自分も訳が分からないので責任が取れない旨を説明する羽目になってしまいました。
この出来事を機に「もう自分で起業するしかない」と腹を決めた次第です。
本屋に駆け込んで積算単価表を買う
——独り立ちを決めて、まず最初に始められたことは?
前田 とりあえず、マエダハウジングの屋号で名刺と手作りのチラシを刷って「お住まいのことで何かお困りごとはありませんか?」と個人宅を営業することから始めました。
100軒、200軒回っても門前払いばかりですが、1000軒、2000軒回ると話を聞いて下さる方が出てきたんです。
ある時、訪問先から「玄関の壁が古いので塗り替えたい」と持ち掛けられました。しかし、当時の私では見積もりの出し方もよくわかりません。本屋に駆け込んで積算単価表を買い求め、「聚楽壁は㎡単価が○○円…」といった初歩の初歩から勉強です。見積もりを納得いただけると、次は工事をお願いする内装業者を探すわけですが、私はまだ27歳の若造なので見た目からして不安ですよね。
何社か訪ねても、まず聞かれるのが「お兄ちゃん支払いの方は大丈夫?」でした。
——どうやって信頼を得ることができましたか?
前田 私としては「工事が終わってお客さんから入金があり次第、お持ちします」と告げるしかなく、ようやく一社に請けていただけたので、約束通り工事終了後、その足で代金をお届けしました。業者さんが「ほんとにすぐ持って来たね」と安心されたので「次もお願いします」と伝えると、快諾していただけました。
結局、業者さんと信頼関係を築くのはこの積み重ねだと思います。約束を違えることがあってはならないし、特にお金に関しての取り決めは何よりも重要です。
実は創業当初に一度だけ失敗したことがあります。営業から現場管理、経理に至るまで、全て私ひとりでやっていたことから忙しさに追われ、ある大工さんへの振り込みを忘れてしまいました。奥さんからの電話で入金し忘れていたことに気づき、大慌てで対応して謝罪に伺いました。
この失敗を教訓に、以降は今日に至るまで業者さんへの支払いと従業員の給料の遅配はありません。当たり前のことですが、何があっても守るべき約束ごととしています。
知らなかったけど建設業ってユニークな人が多いよね。他業種から入ってくるとびっくりする。昔野球選手だった監督とかいたわ。レーサーもいたな。変なヤツが多い。
広島在住ですがみるみる内に大きな会社になりましたね。
社長さんとも1度お会いしたことがありますが、腰が低く笑顔が特徴的な印象でした。
これからも広島を支える企業としてトップをひた走って頂きたいですね。
やはりリフォームをお願いするのもお金がかかることです。今の時代、新築が当たり前でなくリノベーションなどで家を甦らせることも多いです。技術は当たり前であとはやはりその人の人柄で最後はお願いするか決めると思います。前田さんはポジティブな人柄が伝わります。前向きな会社にお願いしたら家も上手くまわっていきそうです。そんなをことを思いました。
会社創業当時から現在まで、どのように歩んできたのかが分かりやすく楽しかったです。企業のトップのレベルで現場の雰囲気の向上、社員や職人の間での情報・意識合わせを行っていることに驚きました。
また、時代のニーズを先読みし、今後の職人の育成を行っている事にも感激しました。不動産業界だけでなく、他の業界でも活かせていける情報を得ることが出来ました。
今後も広島を代表する企業として、頑張っていただきたいです。
異業種からのリフォーム会社創業という時代ニーズを読む着想やチャレンジ精神に感銘を受けました。創業時の体験談や多能工育成が信頼成長のカギを握るなど事業経営の苦労が分かりやすくレポートされており、建設業に関わる立場の読者として共感するとともに大変参考になりました。
広島県のリフォーム業界で5年連続トップの実績、年商約20億円に達するまでに業績拡大させた経営手腕に今後も注目しています。
紆余曲折あって、1代で築き上げた会社
である事。また、業界独自の問題点を
克服改善されて現在の立ち位置にいる事
が理解出来。参考になりました。