混合比がコンクリートの性質を決定(高炉スラグ)
高炉スラグを混合した「高炉セメント」について詳しく見ていこう。ここでは代表的なB種(30%超え~60%)を取り上げたい。
混合セメントの密度(比重)は、普通セメントより軽い。普通セメントの密度が3.15であるのに対し、高炉スラグは2.90程度。
これを半々で混ぜると密度はどうなるか?(3.15+2.90)/2 = 3.025 → 3.03
高炉スラグ50%混合の高炉セメントの密度は 3.03㎏/m3。単純な足し算・割り算で求められる。
性質も同様の足し算・割り算、混合比率で現れる。
さて、普通セメントの組成を覚えているだろうか?
- C3S けい酸三カルシウム
- C2S けい酸二カルシウム
- C3A アルミン酸三カルシウム
- C4AF 鉄アルミン四カルシウム
これらが半分に減り、高炉スラグに置換される。
それぞれの役割をおさらいしよう。
C3S けい酸三カルシウム (エーライト)
初期の強度発現、水和熱の発生に寄与する。ということは、これが半分に減ると、初期の強度は出にくいが、水和熱の発生を抑えられる。マスコンクリートには有利だ。
C2S けい酸二カルシウム (ビーライト)
長期の強度発現に寄与する。これが半分になると、後半の強度の伸びも小さくなる。
しかし安心してほしい。その分、高炉スラグには「潜在水硬性」という特性があり、セメントの特性が半分になった分以上の強度を後から補完してくれる。
C3A アルミン酸三カルシウム (アルミネート)
初期の水和反応が非常に早く、収縮量も大きい。化学抵抗性は小さい。
この特性が半分になるということは、熱の上昇、収縮量も減るということだ。
C4AF 鉄アルミン四カルシウム (フェライト)
強度発現に寄与する特徴はない。
高炉セメントの特徴
高炉スラグによるデメリットも紹介しておこう。
ポルトランドセメントの反応によって、水酸化カルシウム<Ca(OH)2>が生成される。
コンクリートのアルカリ性の源であるが、これが半減するということは中性化しやすいということにつながる。
しかし先ほど触れた、「潜在水硬性」によって、ケイ酸カルシウム水和物<C-S-H>が生成され、毛細管空隙を埋める分、コンクリートは密実な組織となっていく。結果的には、長期強度で普通ポルトランドセメントを使用したコンクリートよりも強い強度を出すことも、よく知られている。
以上、「高炉セメント」の特徴を簡単にまとめると、
- 化学抵抗性向上
- 水和熱の低減
- 緩やかな水和反応
- 毛細管空隙が埋まり、緻密化(潜在水硬性)
などが挙げられる。

強度増進のメカニズム
こうわかりやすく説明してもらえると、おもしろい。
受けようかな