「俺達の若い頃は!」は絶対に通用しない
――今どきの若者は、入職しても長続きしないという話を聞くが?
次期社長A 確かに、実際に育てようとしても、なかなか育たない。人はすぐに育つものではないとわかっていても、思い通りいかないと、ヤキモキしてしまう。
でも、僕が諦めたら、若い子は本当に終わってしまう。どうやったら伝わるか。人によってやり方も変えなければいけない。「俺達の若い頃はなあ!」みたいなやり方は絶対に通用しない。
上の人間が圧力をかける昔ながらのやり方では、今の若い子はついてこない。実際に辞めていく。
甲社長には「口出ししないでくれ。僕が僕の責任で育てる」と直談判した。
――やはり、世代間ギャップは埋めがたい?
次期社長A 僕が「わからんことがあったら、聞け」と言うと、その子は「なにがわからないかが、わからない」と言った。僕も同じ経験があったので、言いたいことはわかった。
だからといって、何もしないで突っ立っているだけだと、周りから見捨てられる。周りは、厳しいことは一切言われないが、見捨てられる。どっちが優しいかは難しいところだ。
その子は正直、やる気が見えない(笑)。入社時の志望動機は「甲建設会社で現場監督をやりたい」というバツグンのもので、「久しぶりに良い子が入った!」と思っていたのに(笑)。
あるとき、その若い子のやる気のなさにカチンときて「やる気がないなら定時で帰ればいい。ただ、やる気になったら言ってきなさい。仕事を教えるから」と言った。
僕は内心「やる気はあります。そんなこと言わないでください」と言われると期待していたが、それ以来、その子は時間が来たら、なにも言わず帰るようになった(笑)。
新人技術者でもICTで図面を作れる
――やっぱり「使えない」のでは?(笑)
次期社長A そんなダメなある若い子が先日、僕に「ほめさせてくれた」。いつもは「おこらせてくれる」子だが(笑)。「これからは、僕にほめられるようなことをするようにしてくれ。もっとほめさせてくれ」と言ったら、彼もうなずいた。
わからないことは、何回聞いてもかまわない。機嫌が悪かったら「またかよ!」と言うかもしれないけど(笑)。「とにかく聞いてこい」と言った。
今の若い子は、なにも聞いてこない。言われてないことはやらない。わからないのは教えられていないから。とにかく自分は悪くない、教えてくれないあなたが悪い、という考え方をするので、厄介だ。
――なまじ「監督の仕事をしたい」という思いがあるからでは?
次期社長A 確かに、その子をその気にさせられていない僕らも悪いとは思う。ただ、他の作業員からは「あの子、監督の仕事もしない、作業員の仕事もしない。どうにかしてくれ」と言われた。
でも、人を育てるとは、そういうことなのかもしれない。僕が入ったばかりの頃のことを今思うと、当時の先輩も歯がゆかっただろうなと思う。
当時は、何も教えてくれなくて、見よう見まねでやった後、怒られるスタイルだったが、上の者から見て、当たり前のことができない人間という点では同じだったと思う。
権力を振りかざす世間知らずの勘違い野郎どもは本当に消えていただきたいです。