「胸が大きいから安全帯がきついよね」
――建設現場ではセクハラも多い?
樋口 ある女性作業員から「現場で下ネタを話す男性作業員がいて困っている」という相談がありました。「胸が大きいから安全帯がきついよね」「眠たそうだけど、お盛んなんじゃないの?」などと言われるそうです。この女性はセクハラだと訴えたくても、「働きにくくなってしまう」と我慢していました。
別の女性作業員は、現場ではなく飲み会でのセクハラに悩んでいました。この女性が働く現場では、大きな工程が終わると必ず飲み会があるそうです。この女性も飲み会自体は好きなため、よく参加していました。ただ、二次会は必ずスナックで、いつも職長や先輩の席でお酌をさせられていました。しかも、盛り上がってくるとデュエットを強要され、肩を組んで一緒に歌わされることもあるようです。
お二人とも、その場では笑っていても、心の中ではうんざりしていると語っています。このような状況が続けば、建設業界で働く女性は減ってしまいます。女性が我慢しなければならない職場は健全ではありません。
また、セクハラとは関係ありませんが、現場で働く女性からは「女性専用の休憩室やトイレを設置してほしい」という切実な要望もいただきます。他産業では、男性が多い職場でも休憩スペースやトイレを男女で区分する試みがスタートしています。国土交通省も建設業界での女性活躍を謳っているので、小さな工夫からでも取り組んでほしいと思います。
「外国人には問題がある」という人種差別
――建設現場で働く外国人も増えているが。
樋口 これから、建設現場は男性だけの職場ではなく、多様性を持った人々によって支えられる時代が到来します。すでに女性も若手世代も現場に参画していますし、外国人技能実習生も活躍しています。大切なのは、こうした多様な価値観を認め合う現場であることです。
ある現場では、重要な機材がなくなったときに、真っ先に実習生が疑われたことがありました。「外国人だから問題行動を起こす」と決めつけてかかったのです。最終的には、その機材は別のところから見つかったようですが、疑われた実習生は心に深い傷を負いました。
また、別の現場の実習生は、日本人の社員から「バカ」「͡この野郎」などの暴言や工具でヘルメットを叩くなどの暴行を受け、うつ病になり労災認定を受けています。「〇〇人だから、問題があるだろう」という思想は人種主義と言って、人種差別を正当化する間違った考えです。
現場に多様性がもたらされること、あるいはご自身とは異質な性格を持った人が来ることに抵抗がある方もいるかもしれません。しかし、現場の一人ひとりが大事な戦力で、等しく大切な人材だと認識することで、ハラスメントはなくなります。
これからの現場で良い技術者や技能者であるためには、お互いに、「信頼の共助」を抱くことがハラスメント防止の第一歩です。たとえば、実習生に簡単な中国語やベトナム語であいさつすることも必要となるでしょう。
――最後に、建設現場で働く方々へ一言。
樋口 残念ですが、今の時代は従来の現場の常識や良かれと思った一言がハラスメントになってしまう局面もあります。ですから、指導やご自身も良い方面で変わっていくことが大切です。
今や様々な法律により、ハラスメント対策は事業主の義務です。的確に対応すれば会社の生産性が上がり、社員のモチベーションアップも望めます。しかし、対策を間違えると人材流出も起きかねません。
ただ、私たちへの問い合わせが圧倒的に少ないのが建設業です。今回いくつか事例を紹介しましたが、まだまだ色々な課題を内包しているのではないでしょうか。
ヒューマン・クオリティーでは、これからも課題と時代に合わせた研修・コンサルテーションでハラスメント対策を行っていきます。建設業界で働く方々もこうした研修やコンサルをぜひ受けてほしいですね。
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