作業効率を高めるには、スランプ8cmから12cmへのシフトを
現場での作業効率を高めるためには、作業人員の確保だけでなく、生コンスランプもカギを握る。
これまで、コンクリート構造物はスランプを8cmとするのが一般的だった。ただ近年、国土交通省は生コンに流動性を持たせ、ワーカビリティー(※コンクリートの施工性の容易さを示す性質)の向上につながるスランプ12cmを標準とする動きにシフトしている。
その背景には、コンクリート構造物の強度をより向上させるため、鉄筋量増へと重点を転換させようとする意図がある。
熊本地震でより強固なコンクリート構造物を造ることが求められている中、鉄筋量を増加するのは必然の流れでもある。
しかし、QC活動を主導する熊本県土木部の標準スランプは8cm。作業性の良い12cmにシフトしていない。
八代地区生コンクリート協同組合の事務局長に就く松本公哉は、工事施工者から発注者へのアプローチがスランプシフトのカギを握っていると仄めかす。

八代地区生コンクリート協同組合の松本公哉事務局長
「部材が大型化しており、作業効率を高めていくためには、間違いなく生コンの流動性を上げなければなりません。
国土交通省やNEXCOのスランプは、基準が8cmから12cmへシフトしてきています。それに、作業員の不足、高齢化、打設効率の悪化等の観点から、工事施工者側から声が挙がれば、遠くない時期に県や市がスランプの基準を変えてくるでしょう」
QC活動がインフラ整備の在り方を変える
QC活動による発注者、工事施工者、生コン生産者の3者融合は、確実にこれまでのインフラ整備の在り方を変えようとしている。
工事施工者と生コン生産者の双方の立場に立つ髙野は、静かにつぶやく。「コンクリート構造物には、施工に携わるすべての人の想いがあります。その想いを伝え合うことを絶やしてはいけません」
髙野組はこの工事を終えた後、熊本県企業局発注の「荒瀬ダム撤去関連上流部護岸(斜路復旧)工事」で、2018年度熊本県優良工事等表彰を受賞。
コンクリート構造物への品質管理に対する意識の高さを見事に証明した。
(つづく)