熱狂の裏で…建設職人甲子園のリアルな事情
今年も熱狂のうちに閉会した「第4回 建設職人甲子園 全国決勝大会」。
大会の興奮冷めやらぬ中、この日をもって2年間の任期を終え勇退する理事長の鈴木誠氏、専務理事の中山晋吾氏、事務局長の松尾勇貴氏の三役に集まっていただいた。
アツいプレゼンが繰り広げられた裏で、どのような苦労があったのか。プレゼン大会さながらリアルを語ってもらった。
――お疲れ様でした。今年の「第4回 建設職人甲子園 全国決勝大会」はどうでしたか?
中山専務理事 昨年、幕張メッセで開催し、6,000人を動員した「第3回 建設職人甲子園 全国決勝大会」と比較すると、今年は規模が縮小しました。
ですが、プレゼンテーション大会やこども向けの職人体験ブースといった基本コンテンツは、昨年と大きく変わることなく開催できました。
それに、今年は野外にも職人体験ブースを開き、実際に建機を動かすこともできたので、全体として悪くはなかったのかなと思います。
――大成功だった?
中山専務理事 いや、反省点も多いですね。特に、全国決勝大会のメインイベントであるプレゼン大会にエントリーする企業の数が昨年よりも減少したことは大きな課題として残りました。
松尾事務局長 今年はエントリー企業が少なかったので、地区大会を開催しませんでした。
昨年は、全国7地区で開かれる地区大会(予選)を勝ち上がってきた各地区の優勝企業が、全国決勝大会の舞台でプレゼンテーションを行い、日本一を競いました。
ただ、今年開催した地区大会は九州地区のみ。それ以外の関東6地区は、地区ごとに予選を開催するのではなく、”セミファイナル”と一括りにして予選を行いました。
しかも、九州地区大会の優勝企業が全国決勝大会を辞退することになったので、全国決勝大会のステージに上がってプレゼンテーションを行ったのは、セミファイナルを勝ち上がった2企業だけとなりました。
――エントリーが減った要因は?
中山専務理事 本業もある中で、モチベーションを維持し続けるのが難しいからでしょうね。「全国決勝大会のステージに立ってプレゼンしたい」と思ったときの熱い気持ちも、大会当日まで長い間が空くと気持ちも切れてしまいますから。
エントリーから全国決勝大会当日までのプロセスは見直すべきだと感じましたね。
嫌でも社員と向き合うことになる「建設職人甲子園」
――「建設職人甲子園」の活動を通して感じたことは?
鈴木理事長 今日は運営だけでなく、私も全国決勝大会のステージに立ちプレゼンを行いました。
セミファイナルも含めて、プレゼン大会の準備をしていて気付いたことは、”会社の問題は、社長の問題”だということです。
会社で起こっている色々な問題も、ちゃんと社員と向き合って話せば「そんなことだったの?」というささいなことも多いなと感じました。
――鈴木理事長も、ステージで反省の弁を述べていましたね。
鈴木理事長 プレゼンの準備を進める過程で、嫌でも社員や会社と向き合うことになります。これこそが建設職人甲子園のプレゼン大会に参加する最大の意義だと思います。
中山専務理事 私も過去にプレゼンしたことがありますが、社員との対話の機会は圧倒的に増えましたね。
たとえプレゼン大会に出場せずに、観客席から見るだけでも気付きは多いと思います。「うちはどうなんだろう」とあらためて考える機会になるのではないでしょうか。