地盤改良工法は数百種類ある
地盤塾とは、戸建て住宅の地盤を専門とした会員制の塾で、住宅地盤に関する知識・技術のセミナーなどを開催しています。
「地盤塾」主宰の千葉由美子講師によると、現在、リリースされている地盤改良工法は数百種類もあるそうです。
その数字の大きさに驚愕なんですが、「実際は6種類くらい」だそう。それをそれぞれの業者さんが自社なりにアレンジして「○○工法」と名乗っているようです。
ただ、これは意味なく、それぞれが謳っているわけではありません。日本各地の土質の違いを考慮すると、家と同じく、その土地ごとに合わせた地盤改良工法があるのはおかしくありません。種類が多くなるのは、ある程度まではやむを得ないのかもしれません。

沈下した住宅を土台から切り離して持ち揚げる。隙間が沈下していた量。切り離さず基礎ごと持ち上げるアンダーピニング工法の3割程度の費用150万円~300万円で施工できるが、地盤補償会社は地盤補強を行わないこの工法は推奨していない。但し、お施主さんがご自分の費用で実施するとなると選択されることが多い。この「土台揚げ工法」も施工業者によって品質の差が大きい
それでも、中には怪しい工法も混じっているように感じています。
一緒に受講した大工の棟梁が休憩時間に「親方、新工法ってどの程度の規模の会社がどれくらいの実験をしてから世に出してるんですか?」と質問されたので、
「それはよ、小さな社長とアシスタントの2名くらいの建築事務所が発案してみて、資材を外注に製造してもらってるような規模からいろいろよ。医療と違って建築は即座に命に関わるわけじゃないき。臨床データを何年も採ってから認可が下りてからリリースされるというもんでもないきね」と答えました。
安価な地盤改良工法しか提案しない業者
また、セミナーの中で、「金額が高くなると受注できなくなるので、向き不向きは別問題として安価な工法しか提案しない業者がいる」という話が出ました。
これはどこの業界でも同じですよね。業者も生きていかないといけないのですから、仕事を獲らないと困りますものね。ある意味、ビジネスマンとしては優秀です(苦笑)。
でも、私がお付き合いさせていただいている京都の地盤改良会社「伸光」の西村伸一社長は「岡本さん。うち、(安価な)○○改良工事は止めたんよ」と話していました。
これ、普通に話してますが、凄い決断だと思います。ある意味、一番売りやすい商品を棚から降ろしているわけです。おむすびを売っていないコンビニみたいなもの…ではないかな?
また、将来、土地を販売する場合、幾つかの改良工法は「埋設物」を地盤に残してしまうわけですから、撤去しなくてはなりません。
東京でたいへんお世話になっている、規模の大小関わらず難易度の高い解体工事が専門の「創心建設興業」の高信正勝社長が、
「新築ビルを建てるために既存ビルの解体で埋設物が出て来て、これが大型レッカー等が入れない場所のため撤去費用が莫大にかかる。それゆえ、クライアントさん、建築士さんで既存基礎を再利用するプランにするのか? 費用かけても撤去するのか? を検討してください」
と話されていたことも思い出しました。