どぼくらぶのロゴを付けたら、みんな友達
――どぼくらぶには、メンバーシップみたいなのはあるんですか?
ヒロやん どなたでも参加できるので、とくにはないです。「会員数を教えてください」とよく聞かれるのですが、「把握していません」とお答えしています(笑)。どぼくらぶのロゴを付けてもらった人は、みなさんお友達です。
最近では、大阪府や山梨県、ツタワルドボク学会さんなどからお声がかかるようになっており、相談を受けたり、講演に行ったりしています。そういう方々もお友達です。県外の方々との連携による相乗効果の向上は、今力を入れているところです。
――土木広報の集まりって、仲間内だけで盛り上がりがちですが。
ヒロやん そうですね(苦笑)。ただ、名刺にどぼくらぶのロゴが入っていたりすると、お互いの距離が一気に近くなる感じはあります。
仲間内の話になりますが(笑)、コミュニケーションツールとして、良いなと感じることはあります。県庁の見学会のときに、参加した男の子が帽子に土木ラブのバッジをつけていたのを見たことがあって、そのときは「えっ♡!」と思って、嬉しくて泣きそうになりました(笑)。
どぼくらぶを通じて、ちょっとずつですけど、いろいろ良いことが増えている感じはあります。
――一般向けの活動は?
ヒロやん 県内の小学校、中学校、高校、大学で「どぼくらぶ講座」というのをやっています。こちらで交通費、保険料を負担して、現場見学会なんかもやっています。
――一般にどれだけ訴求しているか、把握しづらい面があるのでは?
ヒロやん そうなんですよねえ。広報の効果をはかるという意味では、メディアに何回掲載されたとか、賞を取ったということでカウントすれば結構簡単なんですが、一般の方々がどう思っているかを把握するのは難しいところがあります。
どぼくらぶの動画を見ていただいた方々を対象に、県でアンケートをとったりとか、県のイベント会場でアンケートをとったりして、情報収集するようにはしています。
私の経験で言えば、出前講座で小学校に行って、土木の説明する前に「土木のこと知ってる?」と質問すると、誰も手を挙げないんです。たまに手を挙げる子がいても、お父さんが土木の関係の仕事している子だったりするんです。
ただ、パワポを使って説明をしたり、ドローンを飛ばしたりすると、多くの子どもたちは「土木って大事だ」とちゃんと認識してくれるようになります。中には「ダムを見てみたい」という子もいて、親子インフラツーリズムを紹介したこともあります。
インフラツーリズムについては、今のところ自前でやっていますが、旅行会社さんなどとコラボできれば良いなと思っています。
職場での相談は最終手段。 仕事の悩みは父親に
――当然ながら、いずれ異動があるんですよね?
ヒロやん そうです。私がどぼくらぶを担当することになったのは、前任者が私を指名したからだそうです。「次は山田にやってもらいたい」と。
私が下田にいるとき、みんなでポロシャツをつくったり、全庁掲示板(県職員全員が見れる)に事務所の活動を投稿しまくったり、どぼくらぶの歌をラップで歌ったり、みんなでワイワイやっていたんです。どうやらそれが目にとまったらしいんですよ。
私もいずれ誰かに託すときが来ると思うんですけど、今は「どの子が良いかな〜」と一人考えているところです(笑)。書類的な引き継ぎでじゃなくて、自分の想いや期待も含め、しっかり引き継いでいきたいと思っています。
――公務員技術者としてのキャリアアップをどう考えていますか?
ヒロやん 実は、今年に入ってから「異動したいな」と思ったことがあるんです。いろいろツライことがあって、弱虫になったときがありました。でもそれはただの「逃げ」だったので、「これはマズイ」と思って、もう一回仕事に向き合うことにしたんですけど。
そのとき「これからどうしたい」ということをまずは考えたんですが、全然思いつかなかったんです。周りからは「道路やれば良いよ」とか言われるんですけど、私自身は「今もまだ探している」というのが正直なところです。県庁に入ったころにはあったいろんな思いが、今はちょっと行方不明になっちゃってます(泣笑)。
――女性の先輩とかに相談したりは?
ヒロやん 相談することはありますけど、ふだんは近くにいないので、多くはないです。職場での相談は最終手段という感じです。ずっと相談しているのは父親です(笑)。
女子はお父さんを毛嫌いするパターンは多いと思うんですけど、私の場合は、家族の中でお父さんが一番ウマが合うんです。お父さんに「こんな書類つくってなんになるのかなあ」と話しすると、たまたま父も同じ仕事をやっていたなんてこともありました。
そういうやりとりをしているうちに、明日もヤル気になることは少なくないです。だから、未だに父から離れられないんです(笑)。
――下田での一人暮らしはさびしくなかったですか?
ヒロやん 最初の1年はさびしくて、毎週実家に帰っていました。2年目は、職員住宅で同僚みんなと一緒にご飯食べたり、飲み会やったり、遊びに行ったりするようになって、実家に帰らなくなりましたけど。逆に、家族から「帰って来い」と電話が来るようになりました(笑)。
――今後やりたい仕事はありますか?
ヒロやん 現場をやりたいですね。公務員土木技術者としてレベルアップしたいです。「土木は経験工学だ」と教えられましたし。例えば、設計書をチェックするにしても、現場を知らないと何時間もかかってしまうこともあるので。
また、管内の市町の職員さんの助けになりたいですね。その自治体が魅力的なまちになってほしいし、それを自分でも情報発信したいという思いがあるからです。
だから、市町の相談にのれるようなチカラを身につけたいですね。管内のすべての人が「みんな幸せになると良いな」という気持ちがありますね。これは下田土木事務所の時から感じていることです。