最近のBIM/CIMの推進状況
国土交通省では、これまで3次元モデルを活用し、社会資本の整備や管理を行うCIMを導入することで、受発注者双方の業務効率化・高度化を推進してきた。
一方で、国際的なBIMの土木分野での国際標準化の流れを踏まえ、社会資本整備を見据えた3次元データを基軸とする建設生産・管理システムを実現するため、産官学一体となって再構築し、BIM/CIMとして推進している。
『CIM導入ガイドライン』の中には、「2次元図面から3次元モデルへの移行による業務変革やフロントローディングによって、合意形成の迅速化、業務効率化、品質の向上、ひいては生産性の向上等の効果が期待される」とあり、2Dから3Dへの移行は必然となった。
満を持してスタートしたCIMはまず、3Dモデルの作成とそれに合わせた属性の管理をどうするかという議論からスタートした。
CIMは、 3Dデータで設計者・施工業者・発注者で一元管理されたモデルとそれに付随した属性情報を共有する。モデルを作成する際に、すべてのモデルを一から作成するのはとても時間がかかる。ある程度のモデルを作り始めてくると、同じようなモデルを部品として再利用したくなる。
まだまだ、3D部品・モデルを作成できる人材が不足していることもあり、部品が積極的に活用できる環境を整えようと、官民合わせての検討は始まっている。
アメリカ、イギリス、韓国…世界の3D部品の整備状況
では、世界の3D部品の整備状況はどうなのだろうか。米国、欧州、アジアの様子を以下にまとめた。
- ウィスコンシン州では、発注機関からソフト、部品、テンプレート、マニュアル等すべて提供されている。
- イギリス王立建築協会が運営しているサイトで、主にメーカーが作成したBIM用の部品が登録されている。
- シンガポールはBIMが進んではいる。しかし、確認申請時に3Dモデルが必要ではあるが、部品サイトは存在していない。
- 韓国は、建築分野のライブラリーは民間団体が配布している状態である。土木分野のライブラリーは国土交通部と政府の研究機関、韓国建設技術研究院が100%運営している。
設計・積算に主眼を置いているため、3D部品に限らず、アセンブリ(組立図)の登録もされているが、政府機関が必要なものに限られている感がある。 - スウェーデンのベンチャー企業のBIMobject社は、世界最大のBIMデータライブラリーサイトを運営している。2017年にはBIMobject Japanが設立されている。
国内外の3D部品の作成状況を調査したところ、部品サイト運営として韓国は理想的ではないかと感じたが、効率化という点では共通しているものの、日本の設計者・施工者の誰もが汎用的なものを共有化しようと考えての3D部品の活用とは異なっていると感じた。
本来発注者が一番活用すべき部品なのかもしれないが、現状では利用者である、設計者や施工者が部品の最大利用者となっている。