世界最大のBIMデータライブラリーサイト「BIMobject」とは?
世界最大のBIMデータライブラリーサイト、BIMobjectというサイトがあることを知ったのは2017年の時であった。
メーカー側から対価を徴収する一方、ユーザーは使用料無料でコンテンツをダウンロードできるというビジネスモデルで、メーカー側は訪問履歴やダウンロードなどのマーケティング情報が宣伝・営業になり、マーケティング情報を提供する対価としてメーカーから使用料を徴収するビジネスモデルである。

「BIMobject Japan」のページ
使用者は無料で効率的に3D部品を活用できるという、互いに必要な情報を活用できるため、ユーザー・メーカー双方に便利なサイトであった。現段階では、建築系メーカーがほとんどで、土木系のメーカーの参入が無いようだ。
このように、BIM(建築系)では、建築保全センターという公的な団体が中心となり、適切な属性情報が付いたBIMパーツを標準化し、BIMユーザーに供給しようという取り組みを行っている。
CIMについては、国土交通省は2018年3月、効率的に3D設計を進める1つの手法として、3Dモデルを構成するパーツを作成・提供する「CIMライブラリー」の構築に乗り出す。2020年度の運用を目指し、CIMライブラリー構築の検討が始まっている。

3次元オブジェクトの供給に関する検討 / 国交省

3次元オブジェクトの供給に関するイノベーション促進 / 国交省

今後の予定 / 国交省
『CIM導入ガイドライン』の中にCIMモデルとは、「3Dモデル」と「属性情報」を組み合わせたものを指す、とあり、BIMobjectの3D部品は属性も多く付与されており、ガイドラインに合致している。このサイトでの土木系3D部品があれば、誰もが使用しやすく効率という観点からも利便性が高いのではないかと思われる。
この際、Civil User Group有志のワーキンググループですでに運営しているBIMobjectを、ユーザグループとしての利用から拡大し、公的機関が引き継いで運用することができれば、今後の部品作成・運用・展開にも効率的だと思われる。
土木ユーザーにも広がるBIMobject
建築系だけではなく、土木系でも有益ではないかと、Civil User Groupで作成した3D部品を実験的にBIMobjectのプライベート空間で1年間限定の運営をしている。運営から半年が過ぎ、訪問、ダウンロード履歴等を見てみると、土木のユーザーも3D部品を必要とし相当数の訪問、ダウンロードをしているという結果が出ている。
日本では、メーカーがこのビジネスモデルを有益だとは感じられていないようだが、ユーザー側としてはこの先、3D部品、CIMモデルを推進していくために、非常に有効なサイトであると確信している。
現在、実験的にCivil User GroupでBIMobjectを活用し、部品展開を半年間運営しているところである。利用者の反応や利用LOGを分析したところ、どの部品がよくつかわれていて、どの分野の部品をさらに増加させなければならないかという利用者の傾向がわかり、本サイト運営に良い手ごたえを感じている。
これらの運用を継続して実施していきたいところだが、BIMobjectの運用には年間150万円程度のコストがかかり、現在無料、無償で活動している土木技術者の集まりであるCivil User Groupの継続した運用は難しい状況である。
他国の事例でもわかる通り、これら部品サイトの運営は発注者が行うものが多いため、日本でも発注機関がCivil User Groupの立ち上げたBIMobject運営の支援を行うか、発注機関が自らBIMobjectと同様の部品サイトを構築し、運営していく必要があると思う。