地震に強い住宅を建て、命を守りたい
すぐに外国人でも受け入れてくれる住宅メーカーを探した。だが、居酒屋のバイトとはワケが違う。
面接で必ず聞かれたのは、「日本語はどれくらいできるの?」「日本で働いた経験は?」。
許さんの日本語能力のレベルはN2(自然に近いスピードで会話でき、新聞や雑誌等の内容も理解できるレベル)と決して低くはなかったが、専門用語が飛び交う建設現場で働くには心もとなかった。
何より、施工管理の経験は全くない。いくら人材不足の建設業界とはいえ、業界未経験の外国人を技術者として働かせてくれる会社はなかなか見つからなかった。
そこで、許さんは建設技術者の人材派遣会社に入社して、働く場を探すことに。まもなく、人材会社から紹介されたのは、都内を中心にRC造の住宅を専門に手掛けている会社だった。「地震に強い住宅」にこだわりを持つこの会社は、まさに理想的だった。
いつか台湾に帰る。だけど、それは今じゃない
今は、現場で写真管理や道路使用許可申請などの簡単な業務を担当している。都内を中心に6~7現場を回り、現場代理人、ときには社長について回り、建築技術者としての基本をOJTで学んでいる。
現場で大変なことを聞いてみたが、「全然ない」という。「嫌なことは雨の日に靴がぐちゃぐちゃになることくらい。残業もないし。何より、会社のみんなが優しくて、面白い人ばっかり」と話す顔が自然とほころぶ。

教えてもらったことはすぐにノートにメモ
休日は、渋谷や表参道を回ることが多い。若い女性らしく、てっきり服でも買いに行っているのかと思ったら、そうではないという。
「日本のオシャレな建築物の内装や外装を見て回っているんです。このカフェの内装とか、スゴくかわいいでしょ?」と、目を輝かせながらスマホで撮った写真をたくさん見せてくれた。
勉強熱心な許さんは今、デザインスクールで出会った台湾人の友人から譲ってもらった参考書を使って、二級建築士の学習もしている。技術者の卵。まだまだ学ぶことはたくさんある。
「いつかは台湾には戻りたいけど、今はまったく考えてないです。まずは日本でいっぱい働いて、いっぱい勉強したい。それに、貯金もしないとね」
日本語学校やデザインスクール時代の友人はほとんど帰国した。寂しさを感じることもある。日本の食事が合わず、体重もかなり落ちた。異国の地で、ツラいこともたくさんあるだろう。
だが、許さんの顔は「私は、これからどんな技術者に成長できるのだろうか」 そんな期待と希望に満ちているように見えた。
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なんという素敵な子だ。
ただ仕事をするのではなく、目的を持つことの重要性を再確認できる良い記事ですね♪
覚えること、教えてもらったことをメモにとり、それを纏め、自らの教科書としている。本当に仕事を覚えようとする姿勢が出ている。素晴らしい。
ウチにもこういう若手が欲しい
立派な技士になって、母国と日本の架け橋になってほしい。なんて良い子なんだ。。
すてきなお話。。元気が出ますね!
採用した社長さんも、素晴らしいですね。