誤訳で実習生から笑顔が消えた
渡邊さんが最初に苦労したのは、言葉だった。「『オーケー』も通用しません。英語でのコミュニケーションがとれないので、彼らは日本語を覚えて、こちらはベトナム語のコミュニケーションの言葉を、まず学びました」。
7年前、ベトナム人受け入れ初期の頃の出来事だ。渡邊さんは8人のベトナム人に、通訳を通して、昼に鉄筋を現場に届ける「昼着」をきちんと実施するように伝えた。
その日を境に、ベトナム人のモチベーションが一気に下がった。「わかりやすく元気が無くなったんです。いつも笑っていた子が、私に対して笑わなくなった」。
心配した渡邊さんは、3日後にもう一度、通訳に来てもらった。悩みごとがあるのか?いやなことがあったのか?率直に訊いた。ベトナム人たちは、やがて重い口を開いた。
実習生 僕たちは、一生懸命に実習をしているのに、渡邊さんに『横着(おうちゃく)』と言われた…
渡邉さん え? 横着?
「昼着」と「横着」が、間違えて通訳されていたのだ。
「私と通訳との間のミスでした。誤解がとけて、もちろん笑顔が戻りました」と、当時のことを振り返る。
ベトナム人は「おはよう」、日本人は「シンチャオ」
この誤解がとけたのは、悩みごとがあるのかと、人と人として接する渡邊さんの心づかいがあったからだ。その背景にあるのは、田村工業の社風だ。
「『おはようございます』とベトナム人が言って、私たちが『シンチャオ』とベトナム語で言う。手探りでコミュニケーションをとってきました。社長方針を受け、みんなで言葉を交わして行こうと、全従業員で決めたのです」
管理部総務課長の木下美直さんは、ベトナム人たちへの配慮について次のように語る。
「現場の子、工場の子、普段会わない人がいます。会社としては、会える機会を作る。バス旅行とか花見とか、釣りに行ったり、サッカーチームを作ったり。イベントを多く設定しています。
帰国の際も、彼らの文化での送別会で、料理もすべてベトナム料理です。そして、日本人も全員参加です。社長方針です」
工事長の男らしさが顔から伝わってくる
心の広い工場長さん!こんな上司の下で仕事ができたら幸せですね☺️
「昼着」と「横着」の話のように、関係性に溝ができそうな出来事は起こりうるけれど、工場長は放っておかずに立ち止まり向き合うことで良好な関係を築いて来られたのですね。日本とベトナムの文化の違いにも驚きました。
記事を拝見致しました!
私も大工造作のベトナム技能実習生の育成をしている者です。
社長をはじめ会社としての方針には納得し、勇気を頂きました!
今まさに、彼らと一緒にあーだこーだ意見を交わしながら、造作大工の施行要領書ベトナム語版を作っています。
ただの労働力ではなく、1人の人間として「僕も一緒に会社の未来を作っている!」という夢や使命感作りのお手伝いをさせて頂いているという気持ちでやっています。
この記事は成功の一例として、
御社の考え方に賛同し、色々学ばさせて頂きたいと思っています!
ありがとうございます!