施工の神様 powered by 施工管理求人ナビ
  • 施工の神様とは?
  • 記事掲載・取材をご希望の方へ
  • キャリアを考える
  • インタビュー
  • 失敗を生かす
  • 技術を知る
  • エトセトラ
  • 資格を取る
  • 建設用語

奥村組ひと筋40年の大ベテランが教える”現場所長の心得” 「一番大切な仕事は、発注者との信頼関係を築くこと」

  • インタビュー
  • キャリアを考える
公開日:2020.02.13 / 最終更新日:2022.08.16
  • シェア
  • Tweet
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 1 コメント
  • メールで共有

台湾の支店長を務め、定年。再びトンネル現場へ

――帰国後はどのような現場を?

加藤さん 帰国後は、六甲山を横断する第2新神戸トンネルの新幹線新神戸駅近くの工事現場に赴任しました。新神戸駅附近の地質は、布引花崗閃緑岩という墓石などに使われる硬い岩が分布しており、当然発破で掘削すべきところですが、駅や民家が近く、発破が使えなかったので、当時奥村組が特許を持つスロット・ドリリングという無発破工法で掘削した現場でした。

その後、隣の既設新神戸トンネルの入口部を、300mに亘って断面約70m2から約230m2に徐々に拡幅し、西神方面へのトンネルの入口部を新設する工事に従事しました。この工事もスロット・ドリリング工法で掘削しています。次に、岐阜と福井を結ぶ油坂峠道路のトンネル現場に赴任し、4本あるうちの1本を奥村JVで施工しました。

次に、四国の松山市内から空港方面に抜ける岩子山トンネル、徳島自動車道の新境目トンネルなどのほか、神戸市鈴蘭台でφ3.1mのTBM(Tunnel Boring Machine)を使った汚水幹線移設工事を担当しました。

そして、新神戸トンネルの2期事業として、新幹線新神戸駅前のトンネル入り口部を南側に延伸し、出入り口を増設する工事を行いました。開削で施工できない交差点の直下、土被りが約4m程度のところを通行止めせずにNATM工法で200mほど施工しました。

その後、受注したばかりの静岡県大井川東側の第二東名高速道路の島田第五トンネルに赴任し、約1,350mの190m2に及ぶ大断面トンネルを2本同時に施工する工事に5年間従事しました。そして、それから岩手県釜石自動車道の1,860mほどの白土トンネル工事に3年間従事しました。

現場を案内する加藤さん

話は変わりますが、奥村組は1985年に海外工事から撤退していましたが、1992年から台湾でシールド工事の技術支援をしていました。これが縁で、2001年から現地のゼネコンとJVを組み、地下鉄のシールド工事を数々受注しています。

台湾の地下鉄工事では、避難通路として、上りと下りのトンネルをつなぐ連絡トンネルを手掘りのNATM工法で掘る必要があったのですが、桃園空港にアクセスする地下鉄シールド工事の担当者が大変忙しい思いをしているとのことで、白土トンネルの工事完了後、半年ほど応援に行くことになりました。

さらにその半年後、台北の別の地下鉄シールド工事の所長が日本に帰国することになったため、社命により、そのまま残って所長を引き継ぐことになりました。2年ほどその工事の所長を務めた後、台湾など海外の土木工事を担当する土木第4部長を、続いて台湾支店長を務め、定年を迎えました。

定年を機に日本に戻り、雇用延長で北陸新幹線新北陸トンネルの敦賀寄りの工区で副所長を2年ほど担当し、その後、今の現場に所長兼監理技術者として赴任し、現在に至ります。

いかにセンス良く、小ギレイに仮設するか

――トンネル工事の魅力は?

加藤さん やはり貫通したときの感動ですよね。若いころは、ちゃんとキレイに貫通するか不安で、ドキドキしていました。トンネルの切羽(掘削面)は毎日変わるのですが、経験を積んだ今ではそれを観察するのが好きになりました。

また、トンネル工事は、施工する人間によって仮設のやり方が全然違ってきます。トンネルを造るのは一緒ですけどね。どこになにを配置するかについて、自分なりにいろいろ考え抜いて決めていくわけですが、それがトンネル工事をする上で、面白いところです。

建築現場のようにキレイな仮設は難しいのですが、そこをいかにセンス良く、小ギレイに配置するかがウデの見せどころで、現場では常にその辺を考えながら巡視しています。外部から見学や視察に来られたときに、現場がちゃんと整理整頓されていると印象が良くなりますからね。私自身、他の現場に行ったときには、その辺りを注意して見ています。

ホワイトボードに花を添えるあたりに、加藤さんのセンスが光る

「片付けて(整理整頓)! 身に付けて(保護具の着用)! 考えて(危険予知)!」という「安全の3″て”」という言葉があります。私は若いころ、これを上司に叩き込まれ、今でも実践しているわけです。

次のページ発注者のもとに毎日訪問
«123»
  • この記事をシェアする262
  • この記事をツイートする23
この記事のコメントを見る1
こちらも合わせてどうぞ!
ラグビーニュージーランド代表が奥村組の現場で「けんせつ体幹体操」に挑戦
ラグビーニュージーランド代表が奥村組の現場で「けんせつ体幹体操」に挑戦
オールブラックスが奥村組の建設現場で「けんせつ体幹体操」 6月28日、ラグビーのニュージーランド代表「オールブラックス」が、奥村組の建設現場で「けんせつ体幹体操」に挑戦する動画がYouTubeに公開された。 動画の中では...
「インフラを蔑ろにする国家は間違いなく滅びる」 藤井聡×ゼネコン×国交省の京大OBが語り合う”土木の使命”
「インフラを蔑ろにする国家は間違いなく滅びる」 藤井聡×ゼネコン×国交省の京大OBが語り合う”土木の使命”
京大・土木学科OBが語り合う「土木の使命」とは? 以前、京都大学の藤井聡先生に取材した。記事は、本人の周囲からかなりの反響があったそうだ。 それ自体は喜ばしいことだが、中には「藤井は土木をはき違えている」などというそそっ...
BIMを活用したいけれど、どうすればいい? アウトソーシングや人材派遣で解決しよう
BIMを活用したいけれど、どうすればいい? アウトソーシングや人材派遣で解決しよう
※本記事は『建設ITワールド』の許諾を得て掲載しています。 「BIMを活用したいけれど、人材が見つからない」「どう始めたらいいの?」—そんな悩みを解決するのが、ウィルオブ・コンストラクション(本社:東京都新宿区)が提供す...
【創業110年の土木論】福知山を拠点に、関西一円で土木建築を手がける西田工業株式会社
【創業110年の土木論】福知山を拠点に、関西一円で土木建築を手がける西田工業株式会社
大阪・京都・兵庫を中心に、土木建築を手がける西田工業株式会社 西田工業株式会社(本社・京都府福知山市)は、今年、創業110年を迎える総合建設会社です。大阪や神戸などにも拠点を構え、関西を中心に、官民の元請け仕事を手がけて...
難工事に工夫満載!西松・戸田・奥村JVの「横浜湘南道路トンネル工事」
難工事に工夫満載!西松・戸田・奥村JVの「横浜湘南道路トンネル工事」
横浜湘南道路トンネル工事で現場インタビュー 延長約300kmの高規格道路である圏央道(首都圏中央連絡自動車道)は2018年8月現在、約9割開通している。圏央道と外環(東京外かく環状道路)、そして中央環状(首都高速道路中央...
「プチプチ」でトンネルを作る?シェアNo.1企業が仕掛ける“建設業との異色コラボ”
「プチプチ」でトンネルを作る?シェアNo.1企業が仕掛ける“建設業との異色コラボ”
「プチプチ」シェア1位の川上産業と、建設業界の「意外な関係」 包材メーカーの川上産業株式会社(本社・東京)は、1967年の創業以来、半世紀にわたり「プチプチ(気泡シート)」を作り続けてきた。「プチプチ」の商標登録を持ち、...

この記事を書いた人

四国の犬
この著者の他の記事を見る
基本的には従順ですが、たまに噛みつきます。
奥村組ひと筋40年の大ベテランが教える”現場所長の心得” 「一番大切な仕事は、発注者との信頼関係を築くこと」 奥村組ひと筋40年の大ベテランが教える”現場所長の心得” 「一番大切な仕事は、発注者との信頼関係を築くこと」

施工の神様をフォローして
最新情報をチェック!

  • フォローする5388

現場で使える最新情報をお届けします。

  • 施工の神様
  • インタビュー
  • 奥村組ひと筋40年の大ベテランが教える”現場所長の心得” 「一番大切な仕事は、発注者との信頼関係を築くこと」
  • 施工の神様
  • キャリアを考える
  • 奥村組ひと筋40年の大ベテランが教える”現場所長の心得” 「一番大切な仕事は、発注者との信頼関係を築くこと」

コメント(1)

コメントフォームへ
  • - 2024/03/05 19:19

    加藤さん、島田でお世話になった村崎建設の湊です。62歳でリタイアして今79歳になりました。スマホで施工の神様の写真を観ました。私はお世話になった奥村組からトンネル専門会社の村崎建設に再就職。約5年間、金谷、三ケ日、八甲田等沢山に思い出がありました。これからも御身体を大切にして、会社の発展の為、また若手の教育に笑顔で頑張って下さいね。

    返信する 通報する

コメントする コメントをキャンセル


コメントガイドラインをお読みになった上で投稿してください。

email confirm*

post date*

あなたも施工の神様に記事を投稿してみませんか?
おすすめ記事
  • 【髙松建設】「古来の技術と新たな発想を融合する」世界最古の企業”金剛組”再生でベスト・プロデュース賞を受賞

    【髙松建設】「古来の技術と新たな発想を融合する」世界最古の企業”金剛組”再生でベスト・プロデュース賞を受賞

  • 点数稼ぎに走るのは「なんか違う」

    点数稼ぎに走るのは「なんか違う」

  • 「暗闇の先の光見て」コロナ禍の”希望のトンネル貫通写真”が心に響く

    「暗闇の先の光見て」コロナ禍の”希望のトンネル貫通写真”が心に響く

  • 「地元の人間の意地。ただ、それだけ」 家族を失ってもなお、愛する石巻の復興に命を懸けた現場監督

    「地元の人間の意地。ただ、それだけ」 家族を失ってもなお、愛する石巻の復興に命を懸けた現場監督

  • 建設業界をイヤになった主任技術者は”造園”へ急げ!

    建設業界をイヤになった主任技術者は”造園”へ急げ!

  • 人と機械はどう補完? これからの橋梁点検

    人と機械はどう補完? これからの橋梁点検

注目のコメント
  • 権力を振りかざす世間知らずの勘違い野郎どもは本当に消えていただきたいです。

    「○んでくれ」「くせーんだよ」 発注者からの脅迫・暴言集【実録】
  • 公務員なんて、甘ったれのわがまま人間の巣窟。特に、バブル世代にパワハラとかするのが多い気がする。

    「○んでくれ」「くせーんだよ」 発注者からの脅迫・暴言集【実録】
  • 34℃で湿度がどれくらいか判断出来ないが今日びの38℃超え猛暑に比べればまだまし。 皆が言う体調管理なんかで対応出来る範囲を超えている。 朝一番から警戒レベルMAXが普...

    最高気温36℃の”猛暑日”。舗装工事は中止すべきか?【熱中症対策】
  • 勝手に喫煙休憩するな→即飛び蹴り シュールなコントみたいだな

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 辞めていいんじゃねーか? 下請けの奴隷ならともかく、大手ゼネコンの現場監督ならやりたい奴いくらでもいるだろw

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 若くても無能なら要らない

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • そんな無能はやめた方が現場のためだよ

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 飛び蹴りは普通に罪にならないか?

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 休憩するなら水分取るだけで充分なのにねwタバコまで吸いに行き注意されると即飛び蹴りとはヤニ中毒は危険だな

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 結局本人の申告によるものでしかないので、無理がありますよ。 すべての作業員さんにカメラつけて録画でもするならば別ですが。 公共工事にしろ民間工事にしろ、昔からすれ...

    「チェックシートで熱中症を防ごう!」 それができたら誰も苦労しない
  • 熱中症チェックシートは本当に不毛。 挙句の果てに、それを書いていても熱中症が発生したら「管理が甘かったからだ!」といってチェック項目を増やしたり、記入内容の真偽を...

    「チェックシートで熱中症を防ごう!」 それができたら誰も苦労しない
  • 建設業界のパワハラと言うよりは特定の会社の特定の上司のパワハラ。

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 返信した人の日本語もわかりません。 やり直し

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 建設業界って 何処に業界のパワハラをかいてるの? やり直し

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 所長が部下の人間性を否定するような現場がうまく回るはずがない。 現場は信頼関係で成り立っている。 現場の雰囲気は主に所長がつくりあげあてしまう。そのような管理職が...

    65歳以上と外国人は、全員”安全弱者”のヘルメットバンドをつけろ!? 納得できない話
  • この著者は神様とは思えないです まず、職人は工程を縮めたいんじゃなく無駄が嫌いなんです。それは管理者もだと思いますよ。 無駄=損害ですからね。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • スーパーゼネコンの監督とは仲良くなれないな。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • まったく現場の事を理解していない! もっと色んな事を経験して、勉強して下さい。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • 不仲は横柄で生意気ななゼネコンのセコカンが原因だと思いますけどね。 舐められない様な教育受けているので仕方ない所もありますが。 職人さんも見栄えよりも工数へらして...

    「不仲説」 現場監督と職人
  •  不仲なら発注しない、請負わない。 お互い仕事できなくなればいい。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • キャリアを考える
  • インタビュー
  • 失敗を生かす
  • 技術を知る
  • エトセトラ
  • 資格を取る
  • 建設
    用語
【PR】施工管理技士の転職に特化した求人サイト
施工の神様ロゴ
  • 施工の神様とは?
  • 原稿募集
  • 取材ライター募集
  • 運営会社
  • PR・プレスリリース
  • プライバシーポリシー
  • 広告掲載について
  • お問い合わせ
Copyright © 2025 WILLOF CONSTRUCTION, Inc. All Rights Reserved  リンクフリー
施工の神様