NTT都市開発らと提携し、まちづくりにも参画
――リノベるは、NTT都市開発など大手企業と提携していますが、スタートアップ企業と大手が提携する意味はどこにあるとお考えですか?
安江 大手と連携し、大規模プロジェクトについて様々な施工を経験していくことで、新たな可能性を見いだせると考えています。提携については責任も感じていますが、先ほど申し上げたような人材や技術開発、品質確保などを伸ばしていくことは、トップランナーとしてやっていく責務があると感じています。
――各社との提携で、まちづくりへの参画も進むのではないでしょうか?
安江 今、まちづくりについては企画から参画するという関わり方が増えています。例えば、株主である東急所有の築21年の学校施設を、徳島県のアンテナスポットとして、レストランやマルシェを備えた宿泊施設にリノベーションした例があります。サブリースで得た収益の一部を隣接する区立公園の再生に投資し、老朽化した公園を再生し、エリア価値の向上を見据えた取組みも行いました。
また、NTT都市開発との業務提携を行いました。NTTグループの保有資産の利活用を共同で手掛けていく予定です。保有資産を多く持っている企業ですので、シナジー効果を発揮できると期待しています。私たちは不動産業界、金融業界とも関わりが多いですから、様々な提携の在り方が考えられます。
――話は変わりますが、安江さんが建築に興味を抱いたきっかけは?
安江 大学は建築専攻ではなかったのですが、在学中に近代建築史の講義を受け、興味を持ったことが建築の世界に飛び込んだきっかけです。大学卒業後に昼間はアトリエの設計事務所でバイトをしつつ、夜は建築設計の専門学校に通いました。
専門学校を卒業後は、首都圏で9坪ほどの狭小な注文住宅をつくりたいという顧客に対応する設計事務所で設計業務を行っていました。その後はオフィス設計もやってみたいという意欲もわいてきて、オフィスパーテーションを製作する会社の設計部門に転職しました。
この会社では、「増床したい、もしくは移転をしたいのでレイアウトを考えて欲しい」や「リフレッシュスペースをつくるので、原案を考えて欲しい」などの要望に対して、いろいろ提案してきましたね。
結果、住宅とオフィスの両方を経験しましたが、やはり身近な住宅に興味を惹かれ、リノべるに入社し、今に至ります。
――あえて、リノベーション設計に意欲を持った理由は?
安江 最初の職場の設計事務所は首都圏の注文住宅設計でしたが、都心部に注文住宅を建築するには、土地を入手することから始めなければなりません。でも、やっぱりそれは難しいことで、別の手段で住宅を提供する方法がないかと模索していた時に、リノベーションと出会いました。
建築設計では内装空間をつくることが好きだったので、だったら自分のやりたいことがリノベーションで実現できるな、と。
――仕事で心がけていることは?
安江 顧客にしっかりと情報伝達をし、共通認識を持ってもらうことが大事ですね。そのためにも、メリットとデメリットの双方を丁寧に伝えることを心がけています。自分の作りたいものを一方的に押し付けるのではなく、あくまでジャッジするのは顧客ですから。
――リノベるには、どういう方が向いている?
安江 リノベるはスタートアップ企業なので、挑戦意欲や新しいものを生み出していくことに価値を感じる方、また社会のどこに課題があるのかを見つけ出して、それに対してチャレンジする人材が向いていると思います。
そのためにも、会社としても社員の働き方を大切にしています。豊かな暮らしの実践者であることが、お客さまへの豊かな暮らしの提案につながりますから。