建設アプリで「現場を見える化する」
――次のステップに進むために、まず何をした?
横田 僕一人で全体を管理して回すことから脱却する、つまり、すべての社員にとっての「現場の見える化」を図るために、「SITE(サイト)」という現場管理アプリを導入しました。
今は色々な施工管理系のアプリやソフトがありますが、僕自身はそのあたりの知見はありませんでした。ただ、もともと数年前に建設業関連のソフトウェアを開発しているイズミシステム設計のオフィス内装の仕事をやらせてもらうことがあって、そこが新会社を立ち上げて建設アプリを開発するというので、ちょっと使ってみようかなと。それがそもそものキッカケでしたね。
――どのように使っている?
横田 クラウド上で案件や技術者のスケジュール管理をしたり、グループチャットで図面を共有しつつ遠隔会議などをしています。
人員配置の合理化はだいぶ楽になりましたね。パソコンやスマホで案件と社員のスケジュールを一目で把握できるので、人員の割り振りも簡単になりました。数少ない施工管理技術者の配置が適切化されれば、彼らが担当できる案件も増えるので、その分僕は社長業に専念することができる。

SITEのスケジュール管理画面
SITEの導入で、作業工数は格段に減っています。クラウドで案件を管理し、クラウドと紐づいているアプリで社内の他の社員や協力会社と状況を共有できるので、余計なやり取りも減ります。
施工管理技術者って基本、会社にいないので、会議の設定だけで時間のロスが生まれますが、「今こことここの現場動いてるけど、次は誰をどの現場に配置するか」みたいな打ち合わせもビデオチャットでスムーズに終わるし、現場の進捗もスマホで映しながら説明するだけになったので。

SITEの案件管理画面
――社員たちの反応は?
横田 正直、まだ慣れてない部分はありますよ。どれだけ「現場で使いやすい技術です」と謳われていても、実際に現場に普及させるとなるとやっぱり難しい。新しい技術を使うことに抵抗がある人がいるのも事実ですからね。
だから、まずは誰かに完璧にシステムや操作を覚えてもらって現場で教育できるよう、SITEの専任者も置く予定です。僕でも使えるくらいシンプルなので、わざわざ教えなくてもすぐに覚えると思います。
最終的には、図面の共有なども含めて、メールを使わずすべてSITEで完結できるように、社内システムを移行している最中です。
現場効率化の先にある”上場”という夢
――今後のステップアップはどのように考えている?
横田 業務の効率化が少しずつ図れてきたとはいえ、技術者を増やしていかないと、事業の拡大は見込めないわけです。でも、市場に人はいない。
しかし、SITEのような現場管理アプリを使いこなせれば、建設業のことをすべて把握していなくても回していける。クラウドで、ウチが抱えている現場の稼働状況をすぐに把握できるし、教育コンテンツも入れておけば、経験の浅い子でも技術者として採用できるようになる。
つまり、知識や技術よりも、気配りが重要になってきます。なので、最近は「未経験可」とハードルを下げて募集しています。これは現場の効率化と同じくらい、ウチにとって大きかったですね。
最近入社した女性社員がいるんですが、彼女はもともと幼稚園の先生で、インテリア好きでした。業界経験はまったくありませんでしたが、ちょっとした縁でウチに入社することになったんです。今はSITEを使って、現場アシスタントという立場で案件全体を管理してもらっています。
もちろん、技術者が増え、受注できる案件が増えれば、それだけ協力会社も増やさなければいけません。有料のアカウントを発行するのは職長クラスまでで、ほとんどの職人さんは無料で連携できるのもありがたい。職人さんはここまでの機能を必要としてないですし、大きい現場では100人を超える場合もありますからね。
――最終的な目標は?
横田 2027年までに社員数を今の12人から50人くらいまで増員して、売上35億円、そして上場を目指しています。SITEを使って現場管理の工数を減らしていけば、50人でも十分に達成できる数字だと見込んでいます。
なかなか技術者が採用できなくて、社長自ら現場に出ている中小零細の建設業者って多くて、マンパワーの問題で売上が頭打ちになっている。それを打破できるのが、「SITE」だと感じています。
ですが、ただ入れて終わりではなく、それで何ができるのかを社長自ら理解して、どうやったらもっと有効活用できるのかまで考えていかなければならない。せっかく入れるんだったら、使い込まないともったいないですからね。
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