“ICTは手段” 作業の効率化につながらないと意味がない
相田さんが所属する生産開発センターは、i-Constructionと同じ年、2017年に設置された新しいセクションだ。相田さんは「機械屋」としてNIPPOに入社。現在は、同センター機電系の責任者として、機械や設備、工法などの開発、管理を所管するほか、ICTの導入、開発なども担当している。
国がi-Conをスタートさせたのをきっかけに、NIPPOのICT開発は一気に加速した。「i-Con以降、それまでお付き合いのなかったITベンダーさんとお付き合いする機会が一気に増えた」と言う。
NIPPOのICT研究開発は当初、大規模な新設工事向けの技術開発に軸足を置いていたが、その途上で「小さな補修工事の方がニーズとして多いんじゃないか」と方向を転換。補修工事向けの開発に切り口を変えていった経緯がある。

NIPPO生産開発センター
開発の経緯について、相田さんはこう振り返る。「現場では、なにが一番危ないのか、何に一番苦労しているのかを調べていくと、施工そのものよりも、工事の前段取りなど案外目立たない部分に問題があるこことがわかってきた。そういった部分の省力化、省人化にシフトしていった」
一口にICTと言っても、舗装工事には適さないモノもある。例えば、ドローン測量はICT土工では一般的だが、舗装工事の測量にドローンは向かない。ミリ単位の高い精度が求められるからだ。舗装の測量にはレーザースキャナーを使うわけだが、その解析には時間がかかる。「舗装工事は時間との勝負。測量の部分に力を入れる会社はほとんどない」と言う。
ICT化とは言え、作業の効率化につながらなければ意味がない。ICTは手段であって、目的ではないからだ。現場に役立つICTの開発のため、相田さんは何度も現場に足を運び、現場監督や作業員などと何度も打ち合わせを行った。
「3K」イメージ払拭のねらいも
NIPPOがICT開発を進めたのには、作業の効率化以外にも理由がある。「舗装工は『3K』のイメージが強い。このイメージを払拭しないと、工事に携わる人がいなくなるいう危機感があった。このイメージ払拭のためにも、ICT化が必要だという考えがあった」と言う。NIPPOには、人材確保を巡って強い危機感がある。
例えば、サーキットやテストコースなどバンクのついた舗装工事には、特殊な工法が必要になる。特殊工法は、NIPPOが得意としてきた分野だが、ベテランの退職などにより、これらの工法を使った施工ができる技術者が減っている。「特殊工法に関する技術をどう伝承していくか。これには非常に頭を抱えている」と言う。
素晴らしいです☺️
ICTと言えど、やはり現場は人で造られていきます。
信頼関係はもちろん、ベテランの技能伝承は必須。
ICTは手段という考えに甚く共感しました
感動しました!
ICTがもっと普及することを願っています。
ICTの技術、精度は少しずつではありますが進歩してます。
それでも職人の感覚にはまだまだ追いつかないのが現状であります。
ICTも良いですが、やはり職人の育成も大事だと思います。
舗装工事の作業員の数は30年前と現代もさほど変りません。人員削減できる機械を開発して欲しいものですね。