期待されるNIPPOのICT技術
N-PNextにラインアップされているNIPPOのICT技術をいくつか見ていく。
Wi-Fi対応温度ロガーで省人化
まずは、合材温度測定システム「Nコレ・サーマル」だ。Wi-Fi対応温度ロガーを用い、工場出荷~現場到着時の合材温度を連続的に計測する代物だ。

Nコレ・サーマルのイメージ
従来、この合材温度を計測するためには、ダンプトラックの荷台に人が上がり、積載されている合材に温度計を挿入する必要があった。また計測した温度の記録、および帳票作成も人手に頼っていた。この合材温度計測作業は墜落転落の危険が伴う上、荷台への昇降動作により多大な労力を費やしていた。
Nコレ・サーマルは、屋外設置可搬型Wi-Fi装置を施工機械や現場周辺に設置することで、計測データが自動的にクラウドに収集され、インターネットを通じて共有、確認できる。また、クラウドに収集された温度データは帳票出力することができる。これにより現場での省人化、安全性向上につながる。
デジカメで幅や厚さを計測し、省人化
株式会社横河技術情報の協力を得て、2019年に開発した同社最新の技術が「Nコレ・メジャー」だ。
従来、舗装修繕工事の出来形確認のために水糸を使っていた。水糸を持つ人間とスケールを持つ人間で3~4名、写真撮影する人間1名が必要になる。アナログな計測で、時間がかかる上、終わるまで次の工程に進めないので、非常に効率が悪い。この作業が苦痛で、仕事がイヤになる社員もいたと言う。

Nコレ・メジャーでの施工の様子
Nコレ・メジャーは、切削・舗装面に特殊な専用ターゲットを設置し、デジタルカメラで複数枚撮影し、舗装の幅や厚さを計測するシステムだ。もともと橋梁のボルト位置を計測するために使われていた技術を舗装計測に応用した。計測データは自動で帳票作成され、クラウド管理される。計測作業は1名でできる。
昨年、国交省公募「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」に採択され、現場検証を実施。現在特許出願中。「当社だけでなく他社にも使ってもらえるよう、基準づくりを進めている」と言う。
トータルステーション(現場基地局)なしでマシン制御
補修工事(切削オーバーレイ)に展開可能なマシンコントロールシステム「3D-RTC工法」もある。株式会社トプコンのマシンコントロールシステム「RD-MC」をNIPPOとユナイト株式会社が実際の現場で使用可能なレベルまで検証・昇華し、工法化した。

3D-RTC工法の施工イメージ
舗装修繕工事では、トータルステーションを設置する場所を確保するのが難しいほか、通過車両に伴う視準エラーなどが発生するため、マシンコントロールによる施工が可能な場所は、閉鎖された空港や高速道路など大規模現場の一部に限られていた。
3D-RTC工法では、機械にGNSSアンテナ、受信機、グレードセンサを設置。トータルステーションなしでマシンコントロールを行う。現状の舗装の高さと設計の高さとの差分を検知し、面的に管理しながら高い精度で施工を行い、省力化・省人化を実現している。
安全教育にVRを活用

VR-learningの様子
NIPPOでは、社員の安全教育や技術継承を目的に、360度動画を撮影できる「全天球カメラ」と教材作成用システム「VR-learning」を用いて、オリジナルVRコンテンツを自社制作し、導入している。
書類などすべての情報をデジタル化したい
今後の技術開発の方向性としては、書類づくりや検査対応など業務の簡素化が一つのテーマになるようだ。「アナログな部分をとにかくデジタル化しようという思いがある」と言う。
すべての情報をデジタル化すれば、エビデンスとしての情報をすべて管理でき、リアルタイムで共有できるようになる。そうなれば、立会検査が不要になるからだ。「情報のデジタル化が実現すれば、膨大な書類づくりから解放される。発注者と受注者の信頼関係を築くためのプラットフォームをつくりたい」と話す。
ただ、すべての現場情報をオープンにすることに対しては、現場からの反発も予想される。天候の急変、機械のトラブル、図面と違う構造など、様々な対応を迫られるのが実際の現場。
しかし、「新しいことを根付かせるためには、臨機応変に発注者と協議しながら、チャレンジすることが当面必要になる。生産性向上の目的は発注者も施工者も同じ。検査の簡素化、書類の削減のためには両者の信頼関係が築けるかが最も重要。そのためにもデジタル化がカギとなる」と力を込める。
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素晴らしいです☺️
ICTと言えど、やはり現場は人で造られていきます。
信頼関係はもちろん、ベテランの技能伝承は必須。
ICTは手段という考えに甚く共感しました
感動しました!
ICTがもっと普及することを願っています。
ICTの技術、精度は少しずつではありますが進歩してます。
それでも職人の感覚にはまだまだ追いつかないのが現状であります。
ICTも良いですが、やはり職人の育成も大事だと思います。
舗装工事の作業員の数は30年前と現代もさほど変りません。人員削減できる機械を開発して欲しいものですね。