“たかがナット、されどナット”
製作金物の図面をチェックする場合は、主部材の寸法や納まり、材質などが議論の中心になります。そのため、副資材については、あまり議論になることはなく、材質やサイズが間違っていなければそれで良しという程度で終わりがちです。
しかし、10年ほど前、設計事務所の検査である指摘を受けました。当時の設計事務所の先生が、アルミ手すりのある部分を触って「全部交換」と言ったのです。私は、その部分を見ても最初は意味が分かりませんでした。
指摘された部分は、アルミ手すりの端部の振れ止めの部分で、躯体のコンクリートからオールアンカー(あと施工アンカー)とアングルで持ち出している部分でした。
理由を聞くと、「子供の手が触れるところに、ボルトの端部が出ているのは良くないので、全て袋ナットに交換して欲しい」ということでした。
元々は商品として、アンカーボルトに対して普通のナットが付いているのですが、専門業者さんと協議を行い交換することにしました。
子供が怪我をしそうな部分については、度々議論になることはありましたが、”そんなとこまで”と感じた出来事でした。それ以降は、図面チェック時に同様の箇所があれば、忘れずに袋ナットにしています。
目先の自分の利益だけにとらわれない
マンションの施主検査などは、ディベロッパーにもよりますが、細かい傷や汚れまで指摘されることがあります。
マンションは最後の砦として、内覧会による購入者さんの検査があるので、施主検査が厳しくなるのは致し方ないのですが、検査員の中には傷や汚れをほとんど見ずに、他の部分をチェックされている方もいらっしゃいます。
その検査官がチェックするポイントは、”後々でトラブルになりそうな所”。
具体的には、全ての可動部分を動かして、怪我をしそうなところがないか?他の部位との干渉する場所はないか?など、購入者の方が怪我をしたり、クレームが来たりしそうなポイントを事前にチェックしていくのです。
実際に指摘を受けた中には、
- 現場で議論にはなったものの、「別にそこまでする必要は無いだろう」という結論に至った箇所
- 「言われたらやろう」と消極的になっていた箇所
- 脳裏にはよぎったが「面倒くさい」とスルーしてしまった箇所
なども含まれていました。
結局、最終的にやることになるのであれば、目先の自分の利益にとらわれずに、気持ちよく最初からやっておけば良かった、と後悔したことを覚えています。
・・・いかがでしたか?
最初は、気持ちに余裕があっても、現場での様々な出来事に振り回され、少しずつ余裕がなくなっていくということは、私の中でよくあることです。そして、余裕が無くなるとともに「思考の幅」も狭くなってしまいがちです。
もしかしたら、皆さんの中でも、共感して頂ける人がいらっしゃるかも知れませんね。私のように、ついつい頭の中が自分のことで一杯になってしまうという方は、基本である「実際に使う人のために検討をする」ということに、改めて気づくきっかけになっていたら嬉しいです。
商売なんだから利益を出すのは当たり前。ただし手抜きはあり得ないです。
そして、「全部取り替え」と言うのは簡単です。しかし材料や人員などが関わってくるので、言われてすぐに出来る事と出来ない事があります。
1現場で議論にはなったものの、「別にそこまでする必要は無いだろう」という結論に至った箇所
2「言われたらやろう」と消極的になっていた箇所
3脳裏にはよぎったが「面倒くさい」とスルーしてしまった箇所。
この気持ちわからなく無いが、ちょっと見方をかえれば何の指定も無く手抜きをした訳でも無いと読める。
この話しが本当ならば検査段階まで指摘も無く気付かない様な設計事務所にも落ち度があるし、検査で簡単に全部交換などと指摘は良いが最後まで見逃していた設計事務所にも費用を負担して欲しいものだ。
>検査段階まで指摘も無く気付かない様な設計事務所にも落ち度があるし
本当にそう。
監理者の立場なら管理者の施工を計画段階、施工報告段階、立ち合い段階で指摘するもんで
完成してからこれやり直し!は基本的に阿呆だと思う。
それが本当に小規模な、建付けが悪いとか色が変わったなら監理能力無いとは言い難いかもしれないが
図面に、計画に明示したものを駄目だ!やり直せ!はそれをやる前に指摘するのがあなたの仕事でしょって思う(それが妥当かはまた別問題だけど