ICTをやらない会社は「浦島太郎」になる
建設業界の古い体質をカイゼンする一環なのか定かではないが、松尾さんは、アドバイザリーとして、他の建設会社にICTに関するコンサルも行っている。発注者やメーカーにもアドバイスを行っている。
「世の中の建設会社は、ICTと言えば、ドローンやレーザースキャナー、マシンコントロールばかり考えすぎなところがある。それが根本的な間違いだ。ウチのような末端の会社がアドバイザリーの仕事をしているのは、ある意味面白いこと。私の知る限り、ICTに関しては、スーパーゼネコンより、小さい建設会社のほうがスゴい。大手と違って、今世の中で一番良いツールを自由に使えるのが大きいと思う。そういうスゴい会社は実は世の中にいっぱいある。ICTをやっている会社とやっていない会社の格差は、両極端になりつつある。やっていない会社は、ここ1、2年のうちに『浦島太郎状態』になっちゃうと思う」と指摘する。
睡眠時間3時間のショートスリーパー
松尾さんのポリシーは「一番遅く帰る」。毎日の睡眠時間は3時間程度。いわゆるショートスリーパーだ。「ラクに稼ぎたい」とICTを始めた話と軽く矛盾するような気もするが、睡眠時間を削るのは「別に苦にならない」と笑う。とくに最近は、次から次へと新しいツールが世に出てくる。それらを調べるためには、寝る間がないという側面もある。ただ、最近は、ICT化のおかげもあって、社員の帰社時間が早くなり、気がつけば誰もいない状態が増えたと言う。
3年前のある日、父親が危篤だという連絡が入る。10年ぶりぐらいに父親と対面すると、父親から「お前はスゴかったな。俺たちにはわからんかった。お前は行けるところまで行け」という言葉をかけられる。その後まもなく、父親は息を引き取った。松尾さんのモチベーションは、父親の「行けるところまで行け」という言葉に支えられている。「どこまで行けるか自分でも楽しみ。本当に行けるところまで行けたら、親父にホメてもらえそうな気がする」と目を細める。
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