水没予定地の利活用は、あくまで暫定的な措置
川辺川ダム建設予定地を発見したところで、次はダム水没予定地へと向かう。五木村役場で「水没予定地がよく見える場所はどこか」と尋ねると、「頭地大橋に行けばよく見えますよ」とにこやかに教えてくれた。
頭地大橋は、全長487m、最大高さ約70mで、ダムに伴う五木村の生活再建対策として2013年に供用を開始した橋だ。橋を中ほどまで行くと、歩道の途中に眺望用のちょっとしたスペースがある。そこからだと、確かに眼下に川辺川、水没予定地などがよく見えた。村役場などは、左岸側の高台にすでに移転している。当初はダム推進のために架けられた橋から、再開発された水没予定地を眺めるのは、不思議な気持ちがした。

「ワイルドとラグジュアリーを楽しむ渓流リゾート」がコンセプトの宿泊施設「渓流ヴィラITSUKI」。
それでも川沿いにはいくつかの建造物がポコポコ立地しているのが見えた。左河岸には宿泊施設「渓流ヴィラITSUKI」が見える。今、五木村でイチオシの観光施設らしい。ヴィラの対岸には、公園施設「五木源パーク」などが整備されている。どちらの施設も河岸ギリギリにつくっているのが妙に気になった。
そのほかには、空き地やら現場工事事務所ぐらいしか見えなかったが、これらのスペースもいずれ何らかの施設が立地するのかなとぼんやりと思いながら、しばらく眺めていた。ところが、いろいろ調べてみると、このダム水没予定地の利活用は、あくまで暫定的な措置として、特例的に実施されていることがわかった。
頭地大橋からの景色は、一見平和な印象を受けだが、山肌や川岸を見ると、土砂崩れにより道路が閉塞しているような箇所が散見された。五木村でも7月上旬に400mm以上の大雨が降ったわけだから、当然無傷とはいかなかったわけだ。近くまで行って見てみようと思ったが、全面通行止で行けなかった。
地元にダムがあったおかげで7月豪雨災害は免れたかなと思います。