足場の解体撤去問題
これは、私が中国地方で発電所工事の安全専任者として関わっていた頃の話だ。現場は最後の追い込みの時期。
元請けの下に入っていた7社ほどのサブコンは、私がいた電気の配線および計装関係の会社を含め、一番忙しい時期だった。特に、いくつかある建屋の中のボイラー棟と呼ばれる、最高高さ80mの鉄骨むき出しのプラント棟の中が一番工事が錯綜していた。
鉄骨構造体の中を縦横無尽に走る、様々な機械配管や電気ケーブル、電線管を取り付けるために設けられた各社の仮設足場の解体撤去は、各社が独自に設けただけに、解体時期やその足場を利用している他業者との間でトラブルが絶えなかった。
それぞれ別のサブコンが構築した足場だが、近接する場合は、どうしても補強のために所々単管パイプで繋いで強度を確保する必要があり、接続部が解体時にドンドン取り払われ、足場自体の強度がドンドン落ちていた。
さらに、込み入った作業が近接して行われている現場では、足場の解体自体が非常に危険の伴う作業となっていた。
足場の解体のみならず、最後の仕上げのために止む無く高所での作業が発生した時には、外壁など一切ない鉄骨構造体の建屋だけに、作業者がちょっとバランスを崩しただけでも、大きな事故に繋がる可能性が非常に高い状況だった。