楊重監視人のツボ
各サブコンがそれぞれに組み立てた足場は、至る所で解体作業が始まり、建屋の周囲につけた4~5台の70トンクラスのレッカーによって、毎日建物の各部から仮設材の搬出が行われていた。
それだけの数の楊重作業が同時に行われる現場を想像してもらえば分かると思うが、吊り荷が同時にあっちこっちで動いている。それぞれに楊重監視人が付き、楊重時にはサイレンを鳴らすのだが、一番大切なのは、その下の状況を見ながら合図をすることだ。
吊り荷そのものの安定はもちろん大切だが、その現場で最重要なのは、吊り荷の下を行き来する人間と車両に対する適切な合図と指示である。2~3回楊重を繰り返せば、その吊り荷の経路はほぼ一定の経路をたどることが分かる。
つまり、その経路下に最も注意しなければいけないわけで、そこに神経を集中させなければならない。また、必要に応じて、危険なところには立ち入り禁止の区画をしたり、安全通路を変更しなければならないのは言うまでもない。
ただ何となく楊重を見てるだけでなく、絶対に吊り荷の下は誰も通さないぞ!くらいの気持ちで楊重監視人をやらねばならない。