工務店は、木造中規模建築のシーズを見逃していただけ
――具体的にはどうビジネス化していく?
佐藤 今後、中規模建築の木造化の普及は十分ありえるんです。なのに、ビジネスのシーズになり得るものを、われわれ地域工務店は見逃していたわけです。あるいは、「われわれの仕事ではない」と仮にチャンスがあっても腰が引けていたんでしょう。
大型パネルは住宅だけではなく、非住宅にも相性がいい。特に、地元の三条市や現場がある燕市は、金属加工の工場、町工場や経営者が多い土地柄ですしね。
ただ、今回は良好な人間関係のもとで受注できましたが、工場や倉庫を建設する話は住宅ほど数が多くないので、ビジネスの入り口をどうつくるかがこれからの課題です。
そのためには、当社以外の工務店が非住宅を受注するケースが増えることが望ましい。「あの工場は木造で建築したよな」という話が少しでも広がれば、施主にとって木造で倉庫などを建築することが特別なことではなく、普通に受け入れられるような風潮になればいいですね。その循環で、当社にも再度お声がけをいただけると思うので。
ですから、ほかの地域工務店も非住宅工事のアンテナを張っていただければ、今後の地域工務店のビジネスにつながると期待しています。
小規模地域工務店でもやればできる。必要なのは経営者の決断
――大型パネルを導入して1年たちますが、メリットなどを総括してください。
佐藤 2019年8月に、大型パネルを導入し、住宅建築工事を上棟しました。1年前は品質も確保でき、労働環境も良くなることから、持ち出し覚悟での導入でしたが、売上も収益もおかげさまで上がりました。当社はおおよそ年間6棟上棟ですが、今期は8棟上棟、なおかつこの8,000万円の工事も完了する成果も見えました。
従来の人手では、ここまでの工事を施工するのは難しかった。しかも、大工も完全週休2日制を採用し、有休休暇も付与し、就業時間を短縮するなど”現場のホワイト化”も進めているので、現場の稼働日数は減少しているんです。それにもかかわらず、生産性向上した上での増収増益です。
大工も過酷な作業から解放され、モチベーションも大きく向上しました。1棟では分かりませんが、通年で見ると大きな成果があります。
――最後に、小規模地域工務店の生き残り策を。
佐藤 これまで当社は、小規模地域工務店にもかかわらず、何でも自社で賄おうと肩肘を張っていたんです。ですが、今回は一部の業務をアウトソーシングすることで気持ちも楽になりましたし、できることも増えました。
例えば、当社では設計施工を行っていますが、プランニングで間取りを書くことに時間が掛かることが欠点でした。ワンストップで設計・施工を提案できることが強みだと思っていたのですが、プランニングに時間が掛かることで失注するケースもありましたから。
できることは徹底的に内製化し、「メイド・イン・サトウ」を目指していましたが、人と、地域と繋がることで、できることがもっと広がることに気付きました。新潟の設計事務所や工務店が集まるコミュニティ「住学(すがく)」や大型パネルの「みんなの会」など、ネットワークが広がれば自分の中にも気付きも生まれてきます。
小規模地域工務店は、経営者の決断が大事です。大型パネルも、やる気になればすぐできます。従業員の待遇向上も、少人数なのでリスクか少なく、会社全体の意思統一も容易に図れます。小規模地域工務店にも強みがあるんです。この強みを最大限に生かしていくことが、工務店の経営者に求められることだと思います。
人材採用・企業PR・販促等を強力サポート!
「施工の神様」に取材してほしい企業・個人の方は、
こちらからお気軽にお問い合わせください。
自分なら若干安い程度なら間違いなく鉄骨造だな
火災保険の価格が全く違ってくるしね
悲しいけど、こういうのは何だかんだ理由付けての木造、地域材利用、地元業者利用した場合での補助金、をやるべきと思う。
そうしないと確かに火災保険とか他の要因でコストが逆転しちゃうからね。
でもその場合は工事したら思ったよりかかったから増額(当初見積もり1式、増額請求は詳細有り等)とか言い出す業者、個人は締め出さないとね
木造でも耐火建築物は作れる。
要求がなかったようですね。
梁と柱が剥き出しでは鉄骨造でも火災に弱いですよ。
私の通勤路でもっと大きな木造倉庫立ちました。