顧客の要望通り建ててはいけない
――御社は大胆で挑戦的な提案も多い。
市東 お客様の家族構成や趣味、生活スタイル等を伺い、土地を確認した後、こちらからに提案しています。
というのも、私が独立する前の工務店では、お客様の要望を事細かに聞いて、それをすべて満たした提案をするスタイルを採っていました。
しかし、お客様は住宅建築のプロではありません。お客様の要望にのみ沿って住宅を建てると、しばらくしてから「こうしておけばよかった」とお客様が後悔するケースもあります。そうすると、「あなたは住宅のプロなんだから、事前に教えてくれても良かったじゃないか」というクレームもありました。
お客様の要望を満たした住まいが、お客様にとってベストでないことがあるのです。

あさひワークスの施工例
――具体的には、どのような提案を?
市東 現在の住宅の多くはビニールクロスやサイディング、シート貼りの建材を採用しています。このような材料は、建築会社側の都合で決められたものと思っています。
施工が簡単、コストが安い、施工時間が短い、などによる理由が大きい。
しかし、お客様にとって長い間過ごしていく住まいにこのような素材は適しているのでしょうか?
私は適していないと考えます。
空気環境や経年変化による風合いなどを考慮した場合、コスト的には高くなり、工期も長くなりますがますが、長く快適に暮らしていただけるような素材を使った住まいが真にお客様のための住まいとなり、長く愛着が持てるようになると考えます。
また、夏場は風などをうまく取り込み、日差しを遮る。冬場は北風を防ぎながら暖かい日差しを取り入れるなど、エネルギーが掛からない冬暖かく夏涼しい住まいを目指しています。
地域工務店は時間が掛かっても、お客様に寄り添い丁寧につくっていくことを大切にするべきだと思います。