中国の台頭による予算のしわ寄せ
私が海上自衛隊施設の耐震改修事業の予算要求を担当した時、中国の南シナ海及び尖閣諸島での活動が活発化しており、海上自衛隊として南西方面への対応へ向けた装備品の整備に予算の比重がシフトしていました。
周辺情勢の変化に関わらず、施設整備に係る予算の獲得は毎年厳しいものがあり、既存施設の老朽更新よりも新設の作戦施設の整備が優先されてしまい施設職域としては厳しい状況に置かれていました。特に残された優先度の低い耐震改修予定の施設と旧日本海軍の施設の改修予算の獲得は困難を極めました。
海上自衛隊内での査定では、当初私が計画として出していた6施設がすべて0円という結果で返されました。すなわち、事業が止まってしまうことを意味しており、次々年度以降の予算要求への継続性を失ってしまうことを意味します。上司からも是が非でも事業継続性確保のため、1円でもいいから予算を確保すべく調整せよ、と命がくだりました。
ここからが私にとって地獄の始まりです。
明日提出の説明用資料が・・・
予算要求の際に査定で跳ね返されたり、質疑があると内部では「宿題」と称して文書で期日を切られて回答を求められます。特に難しいのは必要性を予算要求の担当に理解してもらい予算枠の中に組み込んでもらうか、ということです。
この「宿題」は概ね査定結果文書が発簡されてから1週間以内(休日含む)ということが多いです。これに回答しないと予算枠内へ入り込む権利を失うわけです。しかもこの「宿題」に対する回答文書はコンパクトにA4用紙1~3枚程度にまとめないとなりません。多いと担当者も業務多忙のため見てもらえない可能性があるからです。
私は早速、6施設に係る耐震診断結果を一覧表にまとめるとともに当該市施設の所在部隊の施設担当者に現状の不具合写真を撮影して送るようお願いしました。
写真がなんとか締め切り2日前の午後にそろい、回答文書をまとめ上司に提出してよいかどうかの確認を受けました。すると、
「これじゃあ現状の説明をしているだけで説得力に欠けるな。今やらないとヤバいんですという材料がないと厳しい。やりなおし」
といい、文書を返されてしまいました。この時点で回答前日の夜10時です。
もう絶望しかありません。当時は、上司も含めみな事務所に泊まり込んで予算要求作業に取り組むのが通例でした。
私は悩みました。どうすれば説得力のある資料になるのか・・・疲労と睡魔に襲われながらも翌12時までに出さなければなりません。
某学術なんとか会議とかいう不要な既得権益団体をぶっ壊してその10億を国民の生命を守る防衛費(施設)に回せばいいとおもいます。
超個人的意見。
たしかに
自衛隊は予算が厳しく、トイレットペーパーや転勤による引越代まで自腹と聞きます。
国防の観点から言っても、必要な予算を付けてあげるべきと考えます。
米国から他の国よりも高値で戦闘機等を購入していると聞きます。
自衛隊からリクエストのある装備品等ではなく、米国が売りたい物を購入していると書かれた記事もありました。
自衛隊には災害救助と万が一の防衛に本当に必要な装備を過不足なく備えて貰いたい。
施設の老朽化や支給品などは必要経費です。
米軍の思いやり予算を削ってでも自衛隊へまわして欲しいですね。
そのような事実はありませんね。F-35は日本向けが倍の価格だと報道されたことがありましたが、武器を含めた価格と本体のみの価格を比べていましたし、オスプレイの時も同じようなことをやっていました。アメリカが買わせたいものを買っているという批判も昔からされていますが、邪推の域を出ません。
また思いやり予算を削るのは逆に悪手となりえます。別にただの思いやりでお金を出してるわけじゃあ無いんですから。駐留してる米軍分の戦力を正直に整えたりなんかした方がずっとお金がかかります。(お金もそうですが、人も常にカツカツなのでってのもあります)
とはいえ、自衛隊にはもう少し予算が割かれてほしいものです。これだけ頑張ってて、周辺の脅威も高まってるわけですから、いつまでも古い銃を使わせるのは申し訳ないですよねえ。
>文書を返されてしまいました。この時点で回答前日の夜10時です。
火事場の馬鹿力やひらめきを否定するわけではありませんが、これはマズイでしょう。
2日目の時点で、概要を決定し写真は後日添付で上司の判断を仰いでいれば、残り5日で余裕を持って対応出来たはずです。
しかし完成品でないと受け付けない上司(企業風土)もありますから難しいのかもしれませんね。
(>人<;)