日本の建設向けソフトウェアは高過ぎる
スキャン・エックスの宮谷聡共同代表は、建設業界での3D点群データを巡る状況をこう概観する。
「日本の建設業界でも近年、TLS(Terrain Laser Scanner)やMMS(Mobile Maping system)、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)などを用いて取得した3D点群データを使った現場施工管理が普及しつつある。普及の理由の一つが、3D点群データ取得に必要となる機材のコストダウンだ。最近では、LiDAR(Light Detection and Ranging)を搭載しているガジェットも登場するなど、大幅にコストが下がってきている。写真や動画と同じように、誰でも3D点群データを取得できるようになる時代が来つつある」
その一方、i-Constructionを掲げ、ICT化を進めたい建設業にとっては、これ以上ない追い風だが、それにうまく乗り切れない状況もある。
「確かに、3D点群データを取得するためのハードのコストは下がった。ところが、そのデータを処理するソフトウェアなどは高額なままだ。世界的にもまだ安くなったとは言えないが、日本は高過ぎる。さらに、ユーザーには高スペックなPCなどのワースステーションの構築も必要で、一式揃えると、数百万円に上ることもある。ユーザーインターフェースが難解なのも問題だ。使いこなすには、マニュアルを読み込んだ上で、それなりのトレーニングも必要になる。規模の小さな建設会社にとって、これらのハードルは高い」
つまり、ハードはコストダウンが進んでいるのに、ソフトウェアは進んでいない。これが宮谷共同代表の見立てになる。「この課題を解決したい」。これがXクラウド開発の原動力だった。
月額29,800円で価格破壊ねらう
開発されたXクラウドには、3つの特長がある。1つ目がコスト。月額29,800円(初期費用、保守費用なし、1プロジェクト50GBで10プロジェクトまで)というリーズナブルなライセンス料金設定だ。
この料金設定について、宮谷共同代表は「価格破壊をねらった」とサラリと言ってのけた。とは言え、無謀な設定をしたわけではなく、「海外の3D点群解析ソフトウェアの相場を基準にした」ものだ。
「それでも、日本の顧客からは『安いね』と驚かれる」と言う。この点、「日本の既存のソフトウェアの料金設定がそれだけ高いということだ。日本が遅れているのか、ガラパゴス化しているのかどちらかだと思っている」と指摘する。