技術的に大変だった湧水対策、上げ越し管理
――現場では予期しないことが起きるものだと思いますが、これまでを振り返ってどうですか。
長尾さん この現場は、工程的に厳しいことばかりクローズアップされますが、技術的にも難しいところが多くありました。例えば、基礎工事の湧水への対応です。川の横で深礎を掘るので、突発的に湧水が出てくることに対する不安は常につきまといました。このため、土留めの構造を変えたり、止水減水材を採用したりと事前にいろいろな準備をしました。
上部工の上げ越し管理も難しかったです。橋梁の場合、路面の計画高は±20mmという厳しい制限が設けられているのですが、例えば、これだけの規模の橋梁になると、どうしても施工時のたわみ量が大きくなります。例えば、橋面の高さを朝測って、その日の夕方に測ると、すでに30mm~40mmほども高さが違っていたりするわけです。そういう橋梁の挙動がある中で、路面高を±20mmに収めるのに苦労しました。
管理上は、今回特に自動計測などは導入しなかったため、事前に計算したデータと実測したデータの違いが生じた場合、原因を分析して、型枠のセット高さを変更したりしながら、補正していきました。実際に測量する若手社員とコミュニケーションをとりながら、スピーディーに判断する必要がありました。
プレッシャーをかけられることも、高圧的な態度に出ることもない
――人間関係づくりはどうでしたか?
長尾さん ウチの現場所長の方針として、「なんでもしゃべろう」というのがあります。忙しい中、みんながギスギスするのではなく、お互いしっかりコミュニケーションをとろうということです。この方針に沿って進めた結果、担当者が一人で抱え込んだり、思い込みで物事を進めることもなく、いろいろな困難を乗り越えることができたのだと思っています。発注者とのコミュニケーションもうまくいっています。
――発注者も高く評価していました。
長尾さん それはとても嬉しいことですね。発注者に評価していただけると、実際に24時間休みなく手を動かしている下請けのみなさんを含め、現場のモチベーション向上につながります。
――プレッシャーをかけられることはない?
長尾さん ありませんね。発注者がわれわれに過度なプレッシャーをかけることはありませんし、われわれ元請けが下請けに対して高圧的な態度に出ることもありません。昼夜施工なので職長さんがピリピリすることはありますが、いろいろな知恵を貸してくれますしとても助かっています。そういった点では、現場に関わる全員が一体となって進めてこれた工事だと思っています。
私もこの現場に携わっていました。橋梁の現場もかなり行きましたがこれほど大きな現場は初めてでした。それだけに開通が楽しみです。
私も生コン納入会社の一員として携わらせて頂きました。大成建設の監督さんたちはもちろんのこと、下請けの業者の方々みんな紳士な対応で、現場の雰囲気の良さがとても伝わってきました。打ち合わせも毎回スムーズに進みましたし、初めての打設方法、難しい配合などで難題ばかりでしたが、大成建設さんからの支援や協力で、大変良い仕事をさせていただきました。感謝に堪えません。地元の人間としても、開通が楽しみでなりません。
施工会社は縁の下の力持ちで、一般的に評価されることが少なく、談合だとか、公共工事の無駄遣いとか負の面ばっかり強調されることが多いのですが、こういった記事で施工会社が評価されるのはとても良いことですね。工事関係者の皆様本当にお疲れ様でした。これで南阿蘇方面へのアクセスがとてもよくなり、地域の皆さんが元気になられるといいですね。他県から応援します。