建材が重量化し、大工や職人に多大な負担
――近年、建材が重量化していますが、その理由は?
島村さん 2×4工法によって技術力が向上し、木材の性能も上がっているので、大空間を形成できる部材も増えています。そうすると、大断面の木材が必須になるため、重量も重くなっていきました。加えて、職人さんも高齢化し、新たに若い職人さんの入職が不足しておりますので、1人あたりの負荷がかかってきています。
これまで建設担当や大工さんとコミュニケーションを取ってきましたが、「部材を揚げることに苦労している」という言葉を色々な場面で聞きましたし、「なんでこんな地域で大空間をやるんだよ。もっと周りの環境を見てよ」とこぼす方もいらっしゃいました。
特に、都内の敷地の価格は高いため、資材置き場も少なく、小型荷揚げのエレベータをつけられる場所は限られているので、大工さんが部材の搬入のために上下階を行ったり来たりしているわけです。2階建てであれば一層分で済みますが、3階建てとなると部材を運ぶだけで一日が終わってしまうという話もありました。荷揚げという部分だけでも、『スペーストラス』は貢献できる製品です。
――軽量化に成功した一方、耐震性も向上するという効果もありますが。
島村さん 『スペーストラス』の試用に伴い建物を軽量化でき、地震によって加わる力を軽減できるので、耐震性の向上につながります。建築業界全体が中高層建築の木造化がかなり進展しています。木材は、鉄やコンクリートと比較すると軽い部材ですので、その分地震の力を受けづらくなっています。『スペーストラス』の軽量化に伴い、建物全体も軽量化します。当社の独自技術である壁倍率約6倍の高耐力壁「ハイプロテクトウォール」と合わせれば、かなり耐震性の高い建物がつくれると思っています。
もともと三菱地所ホームの注文住宅は、標準仕様で住宅性能表示制度の最高等級である「耐震等級3」に対応し、関東大震災や阪神・淡路大震災で観測された揺れの1.5倍レベルに耐えられることが可能になり、阪神・淡路大震災では全壊・半壊ゼロという実績から高い耐震性能を実証しています。
ほか、2×4工法では断熱性能が高い建物ですが、そのグレードを保ち、家中すみずみまで換気しながら、清潔な空気と快適な温度で満たす全館空調システム『エアロテック』により、ゼロエネルギーハウスとして環境分野でもかなり優位に立っていると自負しています。
――『スペーストラス』はどのあたりに提案されますか。
島村さん 首都圏でも、とくに敷地条件の厳しい東京の城南・城西地区を、また坂が多く、断面の搬入条件が極めて厳しい場所の多い神奈川県をメインに、『スペーストラス』での大空間を提案したいと考えています。