現在は立ち入り禁止のため、対策工ができない
大涌沢地すべりは、現在も対策事業の真っただ中である。しかし、最近は工事ができていない。その理由は、火山ガスである。かなり濃いガスが噴出していることから、うかつに中に入ることができないのだ。ロープウェイで展望台に行くことは可能だが、そこから下に降りることはできない。
さらに、平成27年には火山活動が一時活発化し、地震や小規模な水蒸気噴火が起きるなどしたため、立ち入りが制限された。それ以降、かなり濃い火山ガスが発生するなど、高温の水蒸気が噴出するようになり、対策対象箇所へ立ち入りができなくなっている。
現地に行けばわかるが、詰め所と思われるような建物や設備が黄色く染まっている。また、このときの活発な火山活動が影響したのか、ブロック積みのいたるところにひび割れが入っている。ひび割れというより、積まれているブロックがずれているのだ。他の場所では、なかなかなお目にかかれない光景である。
土木の仕事に関わった人が見たら、「なんだこれ?」となるのではないだろうか。箱根ロープウェイに乗って、上から見てもブロックがずれているのが分かる。最初は、すべっているためにこうなっているのかとも思った。しかし、調べてみるとどうやらそうではなく、過去の活発化した火山活動が影響しているようだ。
ということは、火山活動が活発になると、地すべりが発生する可能性がある。箱根は活火山でもあるため、本来はすぐさま対策工に取り掛かりたいところだろう。しかし、今は火山ガスの濃度が上昇しているため、工事ができない。まずは、火山活動がもっと沈静化するのを待つ必要があるが、できるだけ早く対策工を行ってもらいたいところである。