ログハウス事業をFCで全国展開
――裁判の争点となった「BESS」の挑戦的な設計・デザインはどこから生まれた?
吉田氏 設計で大切にしていることは、オープンに開かれた住宅とし、便利さは”ほどほど”であることです。最先端の設備を一番に追うのではなく、本当の意味で人間的な暮らしをする上で必要なものをまず考えるわけです。
「ドレスアップよりもドレスダウン」という言葉がありますが、あまりにピカピカな家だと緊張感も走ります。私たちが家づくりで”NG”だと考えているものは、家に緊張感を持ち込まないことなんです。
――施工はどのように?
吉田氏 直販であれば当社が設計・施工しますが、FCによる施工では本部の技術スタッフとFCの各社の技術部門と打ち合わせし、年4回会議を開催します。場合によっては、本部の人間が現場で指導することもあります。
ログハウスは、製材した建材を水平に積み重ねて壁をつくっていく工法で、国土交通省では「丸太組み工法」と呼んでいます。単純な構造なので、1980年代に日本にログハウスが入ってきた頃は、好きな人は自分で組み立てていたりもしましたね。
北欧では千数百年前のログハウスが現存していたり、日本では奈良の「正倉院」もログハウスと同じ構造です。この歴史ある工法を、現代風に改良して提案しています。
――FCの実績は?
吉田氏 全国に40拠点あり、その中で25拠点がFCで、参加会社数は18社です。そして、直販が3拠点、子会社が12拠点です。基本的に地域工務店やゼネコン、建材会社らとFC契約しています。
――地域ゼネコンもログハウス事業に参入するのは、市場開拓の意味合いが大きい?
吉田氏 そうですね。そもそも、ログハウスの市場がもともと日本には存在していなかったわけですが、そこから市場を創造してきた経緯があります。この理念をFCの方にもお伝えしています。昔は当社も無名でしたが、最近ではBESSのブランド名もアウトドア派、自然派の方々に知っていただき、地域ゼネコン・工務店がFCに参加する動機にもなっています。
ただし、こうしたブランド理念のもとに、加盟料をいただかない代わりに、BESSの暮らしや世界観を表現するモデルハウスの展示場を1社単独で展開いただくことと、BESS専任の体制をつくっていただくことを加盟の条件としています。
“行き過ぎた機械・現代文明”に疑問を持つ顧客がターゲット
――ログハウス事業の展開には、ブランド戦略が重要となると思うが。
吉田氏 今、展示場のお話が出ましたが、当社では展示場という呼称を止めて、「LOGWAY」と呼んでいます。これは、何社もの住宅が立ち並んでいるようなただの展示の場ではなく、実際にBESSでの暮らしを体験できる場であってほしいからで、先ほどお話した1社単独での展示場を展開いただく理由でもあります。
一般の住宅メーカーは住宅の購入を検討している方をターゲットにしているようですが、当社は住宅自体を購入検討していることは関係がなく、”行き過ぎた機械・現代文明に疑問を持つお客様”をターゲットにしています。今は振り子が合理性や西洋文明へと揺れていますが、日本の価値観で再構築していく感性を養うことを主として考えているんです。つまり、「BESSの住まい方」に共感してくださる方が購入されていますので、無駄な競争も生まれません。
こうした理念を広く伝えていく上で、当社には「LOGWAYクラブ」という「いつかはBESSの家で暮らしたい」という方に向けたファンクラブもあります。実際にBESSを利用されているお客様が「LOGWAYコーチャー」となり、BESSの購入を検討しているお客様に向けて、暮らす上での疑問に答えたり、暮らしの楽しさを直接伝えていただいています。1万円の年会費をいただいていますが、会員数は増え続けています。
テレワークの普及により、必ずしも通勤に便利な場所に住まなくとも良いという考えも出始め、それならば木の家に住みたいという自然派の潮流も深まっていますから、「BESS」のブランドミッションである「ユーザー・ハピネス」の実現に向け、一層取り組みを強化していきたいと思います。
人材採用・企業PR・販促等を強力サポート!
「施工の神様」に取材してほしい企業・個人の方は、
こちらからお気軽にお問い合わせください。