同じ仕事でも年収差150万円。不満をなだめるのも現場監督の仕事
他社がボーナスを貰っているのも羨ましいが、一番悔しかったのは、同じ仕事をしているのに、会社が違うだけで年収に大きな差があることだった。
しかも、私と同年にJVスポンサー企業へ入社した人とは、年収ベースで150万円ほども差があり、「同じ仕事をしているのに!」とよく上司に愚痴ったものだ。
しかし、そんなツラい時でも、現場を抜けないでいられたのは、良い上司に恵まれたからだと思う。上司には、よく焼き鳥屋に連れて行ってもらった。
その焼き鳥屋の焼き鳥は、串に肉がほとんど付いていない。「こんなに少ない鶏肉をよく器用に串刺しできるな」と、むしろ大将の手先の器用さに感心するほどだ。1本60円とリーズナブルな焼き鳥で、初めて見たときは衝撃を受けた。
上司いわく「焼き鳥は串を食せ、串には肉のうま味がしみ込むけん、ここが一番おいしかバイ!」
きっと上司も金がないのに、落ち込んでいる私をわざわざ連れってきてくれたのだと、私も串をしゃぶりながらガス抜きをさせてもらったのを思い出す。
焼き鳥が教えてくれた現場運営のキモ
建設現場で働く人間は、それぞれ立場や収入も違うが、やはりチームワークが重要だ。
建設現場には一現場一生産性という特徴がある。現場ごとに技術者の配員構成が変わるため、今まで知らない方と一緒に仕事をすることも多い。その都度、変化する環境や現場条件を「読み取り・洞察し・推察する」といった感性が現場監督には重要だとつくづく感じる。
上司は「部下が何を考え、どう動いているか?」、部下は「上司が何を求めているのか?次に何を言ってくるのか?」というお互いの思いやりこそが、円滑な現場運営には欠かせない。
……今でも焼き鳥を食べるたびに、当時のことを思い出し、現場運営の心得を噛みしめている。
良い話ですね。
やはり苦労無しでは一人前になれませんよ