カメラよりも電力データのほうが現場の実態を把握できる
――実証実験からどのような結果が得られた?
佐藤氏 今回の実証実験では、大東建託が現場管理に利用していた従来のカメラ撮影によるデータと、「スマートメーター」による30分単位の電力使用データを比較・分析し、稼働状況をどの程度とらえられるかを検証しました。いわば現場の稼働状況の答え合わせです。
約3か月間の検証の結果、実際に稼働があった31日のうち、電力使用データにより、30日(約96%)について作業があったと推測でき、稼働状況を検知することができました。
一方、カメラデータで稼働状況を検知できたのはたった3日で、実証を通じて電力データを用いることにより、従来よりも稼働状況を正確に検知できることが確認できました。「スマートメーター」による電力データを活用することで、より多くの現場の稼働状況の正確な把握が可能であることが確認できました。
現場でも日報を記録していますが、日報の記入忘れなどのヒューマンエラーが発生する可能性がありますので、稼働状況を網羅的にチェックするには「スマートメーター」が有効であることが分かった意義は大きいと思います。
――実証実験の結果はどのように活用していく?
佐藤氏 2020年6月に電気事業法が改正され、今後、契約者本人の同意と個人情報保護法の遵守を前提に、電力データを第三者に提供可能とする仕組みが整備される見込みですので、スマートメーターのデータを用いて、現場の労務管理や進捗状況を確認できる仕組みづくりを検討しています。
例えば、職種ごとの1人あたりの電力使用量を洗い出し、現場の進捗状況や、現場の作業員が過度ではないか、または少なくはないかなどを分析できるようなイメージです。これにより、現場の平準化に寄与できるのではないかと期待しています。
抜本的な働き方の改善には「スマートメーター」よる労務状況の把握だけでなく、DXによる課題解決の取り組みとしてAIロボットによる現場監督の負担軽減を進めています。