ゼネコンは”インフラを造った者”としての責任を
A氏 いずれにせよ、復興とは極めて足の長い事業だ。どこまでを復興とするか判断することは難しい。だが、”インフラが復旧すれば、復興が完了する”ということではないことは確かである。つまり、造ったインフラをどのように活用・運用していくのかまで考えて、ようやく復興の道筋が見えてくるわけだ。そこに、我々ゼネコンはどのような足跡を残していくのか。それが造った者としての責務であるとも考えている。
だが、ここまで考えているゼネコンはほとんどない。未だに従前の「請負型」ビジネスモデルの中で、”何十億何百億の仕事をいかに上手に受注して利益を取るか”ということばかりに捉われている。だが、どれだけ利益を出したかという物差しのみで仕事をしていれば、工事が終わった後には何も残らない。
都市計画は、そのほとんどが県や市町村から建設コンサルタントに委託されるが、建設コンサルタントによるプランニングは、基本的に日本全体の市況観から俯瞰した形で進められていくもので、その地域とそこに住む方々が”このインフラを本当に欲しているのか”に関わらず、上層で決められた都市計画に沿って発注され、工事が進んでいく。
しかし、復興のために真に優先すべきは、人と産業だ。「この地域にはこのような方々がいる、だからこんな事業がしたい、産業を興したい」という思いがまず先にあって、「であるならば、こんなまちにしよう、これを造ろう」が正しいまちづくり・復興の順序だろう。その点、この10年間の復興には各市町村単位でゼネコン各社が関わっており、地域ごとの復興の進捗状況と解決すべき課題はゼネコンが最も理解しているはずだ。
これまで、ゼネコンはハード主体でまちづくりに参画してきた。だが、除染も解体も終わり、基本的なインフラの整備も一段落した今、その次のまちづくりをどうするのか。造ったインフラを、地元の方々にどのように活用・運用していただくのか。各地の課題に応じたアイディアを出し、力を貸していく、つまり「請負型」から「提案型」のビジネスモデルに転換していくことが、これからのゼネコンに求められることではないだろうか。
確かに、従前のゼネコンの仕事ではないかもしれない。だが、今後の震災復興は明治維新から脈々と受け継がれてきた技術立国としての産業振興とは全く異なる形で進めていかなければならないこともまた事実である。ゼネコンが「脱請負」を志すのであれば、社会貢献度の極めて高いプロジェクトは、まだまだ被災地に残されている。ゼネコン各社は、この現実にどう向き合うのか。復興との関わり方を見直す時期を迎えている。
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