今までできていた工事が、人手不足でできなくなる
そもそも、なぜ人手不足になるのでしょうか。先述しましたが、理由はたくさんあると思います。
私も地域の建設業協会に加盟しているので、色んな会合に出ます。その中で、担い手不足や工事期間の集中による人手不足、稚拙な設計のあおり、設計変更の過不足など、不満をあげだしたらキリがないほど出てきます。
会合の中には、発注者との意見交換会もあり、色んな不満や改善要望を出していますが、反映されたことはほとんどありません。毎年、同じ要望事項の一覧に判を押したように「部内で協議検討します」と書いてあります。
何かの決まりで、意見交換会をやらなくてはいけないのでやってるだけなんだろう…と思い、バカらしくなります。
その会合で出てる議題、内容は確かにその通りで、改善されるとありがたいことばかりですが、協会内で会合に出席するのはある程度、規模が大きく施工管理者はいるが作業員のいない会社ばかりです。当然、作業員を抱えてる会社の苦しみや苦労が全く議題に上がらず、仮に上がったとしても職人が確保できないなどです。
私の会社は、出席してる会社の中で底辺です。作業員を抱えてるのはうちだけです。確かに施工管理者不足も深刻ですが、熟練の作業員不足も深刻です。しかし、その声は私がいる地域の建設業界にさえ届かないし、響きません。
一昔前であれば、軽量矢板と水中ポンプなどで施工していた開削工事が、今では本矢板締切りや薬液注入がないとできない状態です。工事経験者であればどのくらい金額に差があるか分かると思います。仮設が大きくなれば、工事費も上がってありがたい。そんな声もありますが、それでいいんでしょうか?
もちろん、必要なお金は使うべきだと思います。予算を削り危ない工事を行うのは間違いです。しかし、今までできていた工事が、担い手不足でできなくなることには危機感を覚えます。もうすでに取り返しがつかないのでは…とも、うっすら思ったりもします。
事実、私のいる市町村では、ある一定の条件を超えた開削工事を頼めるのは、うちしかないと役所の人に言われています。頼むから今の規模、レベルを維持して欲しいと…。とはいえ、世に言う、焼け跡世代や団塊世代がいなくなってきた我が社のレベルも、どんどん落ちているのは実感しています。危機感しかありません。
通常工事であれば、本格的な仮設をして工事を進めていくこともできるでしょう。しかし、突発的な事故が起きた場合、仮設だ薬注だと悠長なことは言ってられません。機動力、ある程度の資機材、技術者の知恵と土木技術が必要です。それが日々衰退していっているのです。
ここまで長々と書いてきましたが、建設業で働く人間としてやるせない気持ちになります。上記で述べた問題は、私個人(会社)の力でどうこうできる問題ではないということも分かってます。「結局、愚痴だな~」と自分で嫌になります(笑)。
それでも私は、この業界で働く一人間として、建設業界の未来をより良いものにしていくことはできないかと考え、「なにかできることはないか?」「これで良いのか?」と、日々、自問自答を繰り返しています。
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本当に欲しいのは「働ける場所」
作業員を確保し続けるうえでネックとなるのは、閑散期の人件費です。弊社の請負う公共事業は、夏頃から秋にかけて発注され、その年度の3月頃の完成を目指します。
つまり、実質4~9月頃までが暇、10~3月まで忙しいということです。発注時期を半年ほどずらして、4月から着工とならないものかと思っています。
着工が春にずれれば、季候の良い時期に仕事ができて、寒中コンクリート対策に使う費用も減り、雪に苦しめられることがなくなり、除雪作業の人手不足もかなり解消されるように思います。このようにメリットはたくさんあるのですが…。
できないのかな?と疑問になりますが、おそらく現実的ではないのでしょう。デメリットがあるとすれば、水田の農耕期に関わる工事は対策が必要になりますね。その他は何かあるでしょうか?
少し話が脱線しましたが、つまり”半年間は暇”ということです。暇な時期は長年、民間工事を拾いなんとかやり過ごしてきましたが、民間工事は、バブルの崩壊、リーマンショック、コロナ禍と世の中の動きに敏感に反応し、ピタリと止まります。
21年度の民間造成工事は、0件でした。営業力低すぎでしょうと笑われるかもしれません。しかし、その前年や前々年は何件か受注し、閑散期の赤字を最小限に抑えていました。このような状況が数年おきに起きると思うと、持ちこたえるだけで精一杯で、人員の確保や技術の継承などは夢のまた夢です。
1990年代からこのような状況が続き、比較的大きな会社は徐々に作業員を減らし、固定費が少なく売り上げが大きい施工管理だけの会社に変化していったのだと思います。
そのような流れの中でも、先代の社長である父は、「土木会社が泥から離れてどうする!汗をかいて稼がないでどうする!」の精神で作業員を減らさず、長年頑張ってきました。しかし、この状況が変わらなければ徐々に会社が衰退し、仕事ができなくなり、我が社の火が消えるのも時間の問題です。
巷で騒がれているコロナ。ある業種では、街の人出が減った、客が来ない、補助を出せと訴えているようですが、そのお気持ちはよく分かります。原因がなんであれ、苦しいのは一緒です。行政だけが悪いとも思いませんが、補助をくれと言いたくなるのも分かります。
土木も同じように、閑散期には補助をくれという動きが出てもおかしくないと思っています。国に貢献したい気持ちはもちろんありますが、補助は欲しいです。しかし、本当に欲しいのは補助金ではなく「働ける場所」です。
建設業者のできることなどは限られてしまうとは思いますが、仕事が暇になる時期などに、ある程度の期間で自由に出入りしながら仕事ができるような現場があれば、国や地方にとってもプラスになり、閑散期を助けるいいアイディアにはなるのではないか?と思っています。
同じ建設業でも、会社の規模が変われば考えや思いも違ってくると思います。施工の神様は、建設関係、設計士、公務員や異業種の方々など、色んなコメントを目にするので、きっとたくさんの方が記事を読まれているのだと思います。
この記事を読んでいる方々がどんな意見をお持ちなのか、ぜひ色んな意見を聞いてみたいです。
そして、この記事から議論が起き、どこかの地域で実践されるようになり、それが他の地域や全国にも広がっていき、最終的には、建設業が少しでも維持しやすく、無駄なことをせず、世の中の役に立てるような未来になっていくことを私は夢見ています。
そもそも日当2万弱が嘘
公共工事設計労務単価を調べてみてください。1日通して仕事をするとそうなります。しかし仕事には空きも出ます。その時間は誰もお金をくれません。
私はこの文章を読んで、胸が熱くなりました。何も答えられなくて申し訳ありませんが、建設業を良くしていきたい思いは私も同じです!
同じ思いの人が集まるとなにかしらの力になるのではないかと思います。仲間がいるという事はそれだけで力が沸いてきます。
同規模です。よくわかります。
特に閑散期の問題は無視できませんね。積算が悪いと言われればそうかもしれませんが、今時どこも精度は高く5社6社くじ引きなんて当たり前。
仮に受注できても直工と材料はそれどこで買えるのってレベルなので詰めるとすると経費しか無く、粗利でせいいっぱい。
技術者複数体制や、売上重視から利益率重視など模索していますが、もらえる経費も%産出なので1億未満とかだと現場条件良くないときつい。と、どうしたらよくなるか考えているといつも愚痴のようになってしまいます笑
産出×
算出〇
同じ業界で働く者として苦々しく感じております。皆が横並びの賃金ならば、わざわざ建設業に就職するものなどおりません。安い賃金の外国人に叶うはずがないからです。成績の良い人が考えるシステムに腕で勝負しようとする我々が、伸び伸び稼げる業界など出来るはずがありません。社会保険を義務付けられたり、赤字運営をする建設キャリアアップのICカード化など、誰のための稼ぎなのかさっぱりわかりません。気軽に手伝ってが言えない業界に若い人など入るはずもなく、柔軟に誰でもウェルカムだから成り立つ仕事なのに、もう非常に残念な業界に成り下がりました。
復興事業も終わり震災から10年。東北の建設業は震災前に戻ってきたと感じます。ここ1、2年で建設業の廃業、倒産は増えるでしょう。外国人実習生もコロナ禍で来日は厳しくなりました。今後、国土強靭化でどれだけ仕事を維持出きるのか、不安でなりません。
年商もガックリ落ち込みそうです。
CCUSは本当に大手しかメリットない。
代理人の仕事が増えるだけ
私の周りでも同じような話を良くします。みんな同じ苦しみを味わってるんですね(苦笑)変えたいですね~何とかしたい。その気持ちを持ってる人がいると嬉しくなります。
東北もどうなるんでしょうか?震災復興の要望に応えるために設備投資した会社など大丈夫かと心配になります。
うちの会社に関しては、不正が有りませんと言いきれるんですね?
良く、1億弱の仕事受注出来ますね?
全て、低入札ですかね?技術者なん人も配置できるんですね!
頑張って下さいm(_ _)m
仰りたい事は分かります。が、そのシステム自体おかしいのではないか?と思ってます。赤字確定で受注するのが正しいとは思えないです。それは企業努力だと思われるかもしれないですが、役所の見積りも甘くはありません。近年は仕事が多く入札が流れることもしばしば見られるのでそこまで厳しい入札はないですが仕事量が減ればまた同じようになり倒産が増えていくと思います。倒産前に廃業出来る人は廃業を選ぶ事もあるでしょう。
経審本当に必要ですか?
もっと違うところで評価とランク付けするべき‼️
経審があるから赤字でも受注しなければいけない。
技術者を確保しなければいけない。
ISOを取らなければいけない。
重機を持ってなければいけない。
経審の為に無駄な事やってる会社は沢山
ありますよね。
天下りさんなのかお金が必要でやってるのではないか?と勘ぐってしまうこと多いですよね。免許資格の講習も受講者が減った分日数や更新設けてお金増やしてるんじゃない?などマイナスな考えをしてしまいます
的確内容の良い記事ですね😃
ただ建設業だけではなく日本国自体が手遅れだと考えます
吹き出しました(笑)身も蓋もないですがその通りなのが笑えました。しかしまだ諦めたくないです。下向きたくないな~と思ってます。
良い記事ですね。うちの会社も同規模で似たようなものですが
現場監督より作業員の方が多いです。国の維持修繕工事やっているので
閑散期はあまり無いですね。むしろ夏場の方が忙しいと感じます。
見方を変えてみると仕事はたくさん転がってますよ。
最近、年間契約の維持修繕が始まったみたいなのですが下々まで回ってきません。そこが出来ない緊急性のある物などは回ってきますが単発です。人件費+材料費+重機費+経費(少々)なので仕事して時間のみカバー出来てる状態です。継続的な維持修繕があれば助かりますね。