「着実な流域治水推進のための長期計画」を
とりまとめでは、流域治水の現場にも目が向けられた。
流域治水のステークホルダーの積極的な取組みに期待した。流域治水対策を具体的に推進すると、利害対立が発生する。そのために、土木学会は科学的エビデンスに基づいた情報を流域関係者に提供し、それをもとに流域関係者全員で検討していく体制が肝要であるとした。そこで土木技術者は実践で培ってきた経験知識を調査、研究し、流域治水推進のための必要な制度を提案していくべきだろう。
もう一つ重要な提案としては、「着実な流域治水推進のための長期計画」だ。かつて昭和では、財政的や法律的に裏付けのある治水の長中期計画が実行されてきたが、第9次治水事業七箇年計画を最後に、治水事業の長期計画は失われた。
しかし、平成の終盤から令和にかけて、激甚な水害が発生する時代を迎えた。そこで再度、長期的視野に立った財政的、制度的バックボーンを確保する「河川事業」のみならず、流域の強靭化のための都市計画事業等に適応するための制度の必要性を問うた。
以上が塚原幹事長からの声明の骨子内容の説明だが、声明でのメニューは非常に豊富で中には実行に移すにはいくつかの財政的、制度的な障害も予想される内容もあった。
しかし、豪雨災害が激甚化していくなかでは、いずれも重要項目と言えるものであり、今後、どう実行していくかは政府や行政の役割に移ることだろう。
家田会長「土木技術者と市民グループの連携の姿」
今後、土木技術者は「流域治水」の現場施工にあたり、多様なステークホルダーと協業していく局面が求められる。特に、土木と市民の関係が一層強化されていくのではないか。会見中、その点について質問したところ、家田会長は次のように回答した。
「我々土木学会会員は4万人の会員がおり、技術者の集団だ。地方自治体には120万人の土木・建築系の技術者がいる。国土のインフラは施設の管理者側だけでやっているわけではない。
日本の全人口が国土の上で生活しているわけで、そのうちの中には河川の掃除をされるなど、実に多くの方々が国土のインフラを愛してくださっている。こうした市民クループ等をパートナーと位置づけ、『インフラパートナー制度』も開始したばかりで、土木学会と協定を結び、良い国土とインフラをつくる決意を示している。
土木技術者と市民との連携はスタートしたばかりだが、橋やダム等を愛する市民も多く、それが近年のインフラツーリズムにつながっている。現在、インフラパートナー制度第一陣として、16団体と協定を結んでいる」。
また、豪雨災害対策総合検討委員会の2委員は次のような意見を示した。
次に福岡委員は「『令和元年東日本台風』や『球磨川洪水』で得られた知見では、河川の減災をつきつめて言えば、『流域治水』に相当する。これから河川工学の技術を動員し、『多段階リスク明示型浸水想定図』を作成し、まちづくりに寄与していくことが重要になる」とコメントした。

球磨川「流域治水プロジェクト」に関する「学識経験者等の意見を聴く場」の座長もつとめた福岡捷二委員(中央大学研究開発機構教授)
また、廣瀬委員は、球磨川洪水等で多くの高齢者ら災害弱者が亡くなったことに言及。「被災した高齢者施設は治水上、リスクがあったことは認識されていたと思うが、従来のハザードマップだけでは本当のリスクの高さを理解されなかったのではないか。今回のリスクを明示した『多段階リスク明示型浸水想定図』ができれば、学校や高齢者施設を建設することを止められる可能性があり、こういう活動が『流域治水』の基本になる」と強調した。

廣瀬隆正委員(三菱地所株式会社顧問)
土木学会では今回、「豪雨激甚化と水害の実情を踏まえた流域治水の具体的な推進に向けた学会声明」として、最新の知見をもとにとりまとめた。「豪雨災害対策総合検討会」を今後とも継続し、流域治水における科学的エビデンスを広く訴える方針だ。
今、大震災や激甚化する水害や洪水を目の当たりにして、国土保全の機運が高まっている。そこで土木学会は専門家集団として活動しつつ、前へ進める潤滑剤やコーディネーターとしての仕事を担わなければならないと家田会長は土木学会の覚悟を示した。
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河川整備は賛成ですが、発生土の処分運搬について、
絶対に過積載しないと規定量にならない1枚/台のUCR等のぼったくり処分費チケット、現実的に積載量ぴったりなどありえないが、1㎏でも過積載すると違反になる道交法、そして特記で指定しておいて、実情をわかっていながらそれら問題を考慮した運搬費を払わない発注者、いいかげん税金ロンダリングのしわ寄せを施工者におっつけるやめません。
毎回現場から声を上げるといやがらせされるのでこの場をおかりしました。不快になられた方がいたら申し訳ございません。