事業規模は? 対策数は?
5か年加速化対策の対策数は123対策で、追加的に必要となる事業規模はおおむね15兆円を目途としている。
「激甚化する風水害や切迫する大規模地震等への対策」としては、おおむね12.3兆円程度で78対策。うち「人命・財産の被害を防止・最小化するための対策」では50対策、「交通ネットワーク・ライフラインを維持し、国民経済・生活を支えるための対策」では28対策のメニューをそろえている。
次に、「予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策」は21対策でおおむね2.7兆円程度、「国土強靭化に関する施策を効率的に進めるためのデジタル化等の推進」では24対策でおおむね0.2兆円程度で、うち国土強靭化に関する施策のデジタル化は12対策で、「災害関連情報の予測、収集・集積・伝達の高度化」は12対策だ。
これらは、まさに国家百年の大計の施策と言える。
2022年度 国土強靱化関係予算案のポイントでは、「経済財政運営と改革の基本方針2021」に基づき、切迫化する大規模地震災害、相次ぐ気象災害、火山災害、インフラ老朽化等の国家の危機に打ち勝ち、国民の命と暮らしを守り、社会の重要な機能を維持するため、ハード・ソフトが一体となった取組みを推進する。
本格化する「流域治水対策」
それでは、具体的にどのような施策があるだろうか。やはり、筆頭に来るのは流域に関わるあらゆる関係者が協働し、流域全体で水害を軽減させる取組みである「流域治水」(国土交通省5204億円、農林水産省3687億円)だ。
工事内容は、河川における河道掘削、堤防整備、堤防強化、耐震対策、ダムの事前放流の推進、ダム・遊水地の整備等を実施する。
1級河川での戦後最大洪水等に対応した河川の整備率は2019年度の時点では約65%だが、中長期の目標ではこれを100%とし、達成年次も2050年度頃から2045年度頃へと前倒しにする。次に2級河川での近年災害の洪水等に対応した河川の整備率は2019年度の時点では約62%で、中長期の目標は同様に100%だが、達成年次も同じく2045年度に前倒しする方針だ。
少し先の未来である2025年度では、1級河川の整備率の達成目標は約73%であり、2級河川の整備率の達成目標を約71%としている。
建築部門では、大規模倒壊の防止として、住宅・建築物、学校、社会福祉施設等の耐震化等の促進も行う(国土交通省、厚生労働省、文部科学省、法務省、警察庁)。