メインと周辺領域を連結し、新しい価値を
――いろいろな業態との提携の効果は。
山田氏 議論を深めていく中でドローン事業の強化があります。また、データ連携を行う上で、業務と業務が連結し、新しい価値を生むこともあります。個々の業務をデジタルに置き換えることはスムーズに進んでいますが、それをどう当社グループ全体で最適化していくかがポイントになります。
個別的な話では、建機レンタル業界のDXを支援するSORABITO株式会社に出資しています。150の国と地域からアクセスされる中古建機のオンライン取引所「ALLSTOCKER(オールストッカー)」、建機レンタル業向け業務管理サービス「i-Rental(アイレンタル)」と建機レンタル業界の課題に向き合っている点が強みになります。当社と建機レンタル会社とはお付き合いがあり、修理した建機を売りたいというお声がけもあります。メイン業務ではないものの、周辺領域であることから、出資しています。

SORABITOはさまざまな大手企業と連携 / SORABITO株式会社Webサイトより引用
メインと周辺領域が連結することにより、当社グループも新しい価値を生み出し、イノベーションを実現していきたいという想いがあります。
施工のDX化は現場ファースト
――これから施工面でDXにより改良していきたい点は。
岡崎氏 協力会社を含めてヒアリングをしている段階ですが、現状では紙や電話でコミュニケーションをしている部分が多いです。これからはそれをデジタルに置き換え、施工管理も最適化できるようにしたい。電話も緊急対応では効果はありますが、その比率をこれから下げていきます。そのために、協力会社とも連携した施工管理アプリを現在開発しています。
当社内で完結するDXと、協力会社も包含したDXがうまく連携し、スピード感を持った意思判断や新しい価値を創造することが最終的なゴールですので、その準備を開始したばかりです。
ただ、我々は現場ファーストですので、不便にならない範囲でデジタル化を進めている段階です。協力会社からは、「こういうのは不便ですから改良してほしい」というお声もいただいており、着実に改善を行っています。
協力会社も問題意識を強く持っているものの、実施できていない点があり、それを当社が音頭を取って改善することに歓迎している声も大きいです。現場管理についての改善意欲はあっても現実的に着手できていない点で悩んでいる協力会社も多いのです。
建設業におけるイノベーションのジレンマ
――最後になりますが、建設業はアナログが得意技であったため、さらにアナログを深化させたことでデジタル化が遅れるというイノベーションのジレンマに陥っていたと考えます。
岡崎氏 理想と現実のギャップが大きい点があります。当社もゼネコン事業だけではなく、プラント塗装の専業業務があり、その中で作業員は一人親方や高齢の方など、デジタル化を進められていない点があります。そのような方へのデジタル化は時間をかけて進めたい。
ただ、コロナ後になってからは現場の意識も大きく変わり、現場に出る必要のないメンバーはテレワークが基本で、現在は書類のデータ化、ワークフロー化もスムーズに進んでいます。以前は、現場でも「そんなの無理だよ」という拒否反応も一部ありましたが、前向きになっている点が大きな前進と受け止めています。
今まではアナログを極めて業務を進めてきましたが、デジタル化によってさらに多くの成果を生み出し、イノベーションのジレンマから一刻も早く脱していきたいですね。
人材採用・企業PR・販促等を強力サポート!
「施工の神様」に取材してほしい企業・個人の方は、
こちらからお気軽にお問い合わせください。