RC造施工よりも効率的で職人不足にも対応
施工手順は、CLTパネルを吊込み、CLT壁パネルと大梁を施工、続いて大梁、小梁、床受材、さらに床を施工することで建て方は完了する。施工日数は、1フロア当たり約3日間。1日目は壁・大梁、2日目は小梁・床受材、3日目は床合板をワンサイクルでそれぞれ施工し、4フロアであれば合計約12日間で完了する。
現在、CLTに限らずパネル工法の導入が各社で進んでおり、現場作業を簡易化し、専門技能が不要な仕様としていう。現在でも厳しい状況にある建設技能者や大工不足にもいち早く対応した工法といえる。加えて、工場取付が可能な接合金物により、金物取付の品質精度の向上を図った点も工法の優位性を示した点だ。

CLTパネル工法の建て方
4階建てであれば通常、木造ではなくRC造となる。大東建託は木造物件の多くは、ツーバイフォー工法だ。「RC造4階建てで同様な建築物を施工すれば3か月掛かる。そこで独自のパネルCLT工法を導入することで大幅な工期短縮が図れた効果がある」(南部氏)
繊維混入セメント板は雨に強くパネル化にも最適
CLTのパネル化では、工場か中継ヤードで塗装した繊維混入セメント板2枚をCLTに張り、その後現場に搬入する。CLTパネル化に最適な1時間耐火外壁仕様を開発、大臣認定を得ている。繊維混入セメント板は、プラスターボードと比較し雨に強く、1枚目の繊維混入セメント板とCLTパネルの目地同士を合わせることができるため、パネル化に適しているという特徴がある。

耐火外壁の工場施工
「繊維混入セメント板を工場内などで貼り付けた。このパネル板はかなり重く現場で貼り付けようとすると、職人の負担が大変重い。できるだけ工場内で行うことで品質を保ち、あわせて簡易化を実現している。耐火外壁は、告示により強化プラスターボードの使用が求められているが、外壁に関係する場所には繊維混入セメント板を用いている。その理由として、建築中で雨が降った際、強化プラスターボードは濡れるため、品質が低下するケースがある。そこで雨に強い繊維混入セメント板をパネル化し外壁部に使用、囲いができれば内部では強化プラスターボードを貼る構造としました。通常、こうした構造はないため、実験を重ねてこのパネルと施工のために大臣認定を取得しました」(南部氏)
また、CLTの需要は都市部。都市部の特徴は敷地が狭く、アクセスする道も狭い。今回のCLT工場は岡山県にあり、大東建託は各地に中継ヤードを設置しておりその後小型車で現場に搬入する体制とした。また、CLT工法は木材を多く使用するため、脱炭素社会へ向けて大いに期待がかかる。
第1号棟では躯体には、CLT材、集成材、合板などで85m3の国産材を使用しており、輸入木材を含むと木材使用量は124m3となる。