3.11に「ニーモ」の販売に踏み切った意義
――東日本大震災が発生した3月11日に、「ニーモ」の販売を開始する意義は。
峠坂部長 3月11日は、日本全体が災害について意識が向く時期です。大東建託はあの日を決して忘れません。当時、全社一丸となって災害対応にあたりました。そうした意味も込めて、これから建築されるオーナー、そして社員に対しても防災に強い意識をもっていただくため、この日に販売を開始します。
初年度は50棟を目指していきますが、今後はさらに広げたい。今回は水害や地震に強いことをアピールしていますが、ソフト面でも「ニーモ」は地域防災で大きな役割を担っています。大東建託は日本で最も多くの住宅を供給しております。この建物が平常時はもちろん、災害時に有効に働くという視点をアピールしていきたいと考えております。
全国にある拠点を「いざという時に集える場所」として防災ステーションを「ぼ・く・ラボステーション」と呼んでいますが、そのサテライトステーションがさらに増えていくことが望ましい。今、会社としても防災と環境に強化していますのでラインナップした商品をさらに開発・販売していきたいと思います。
――施工と技術面を深堀りしてほしい。
峠坂部長 今回「ニーモ」を開発するにあたり、施工面は非常に重要なポイントでした。実際の建築作業にあたっては、協力会社や職人が施工しますが、RC造と木造という混構造は今回が初めてのケースでした。そのため、施工面では不慣れになります。そこで1階のRC造と木造の間の部分を施工しやすく配慮しました。
次に、水が入ったり腐食することはあってはならないことですので、外観や機能の検討・確認を目的に試作される原寸大模型を作成したり、本社の施工部門と協力会社の間で幾度となく打ち合わせを重ね、1階と2階部分の納まりを決めました。
技術的には、1階はRC造でコンクリート打ち放し仕上げが注目点です。通常ではボードやクロスを貼ることが多いのですが、コンクリート打ち放し仕上げの良しあしで空間全体の良しあしが決まります。この部分に関しては特定の施工業者を指定し、今後、施工指導も行い、イメージをカタチにしていきたいと思います。
――基礎はどのようなイメージか。
峠坂部長 RC造のベタ基礎になります。断面イメージ図の通り、1階の駐車場の部分は地盤面とフラットに連続します。
――建設費は。
峠坂部長 建設費全体については公表しておりませんが、1階部分はRC造ですので、材料は通常のツーバイフォー工法と大きく違ってきます。材料比較で言えば、1.3~1.4倍ほど異なります。
――ユーザからの潜在ニーズはどれほどあったか。
峠坂部長 当社は120万戸以上の賃貸物件を管理しています。毎年のように災害が起こっていますが、発災時にはまず被災状況の確認が重要になります。確認にあたっては現場の技術者だけに任せるのではなく、われわれ本部の人間も応援という形で出向きます。わたしも被災後にはすぐ現地に出向きますが、困っている方々を目の当たりにしてきました。今まで当たり前に存在していた住まいという部分も奪われてしまう現実も見てきました。
災害直後は誰も助けに来てくれません。そこで自分たちで少しでも安心して暮らせることができるよう、「フェーズフリー」という考え方のもと「ニーモ」を開発しました。オーナーの中には多様な賃貸物件を持ち、特徴のある商品を好んで建設される方もおります。そこにニーズがあると考えています。
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