TDYアライアンスのNEXTステージへ
最後に登壇したのがYKK APの堀代表取締役社長で「TDYアライアンスの具体的な取り組みについて」をテーマに語った。
具体策としては、TDYが オススメする商品を盛り込んだ、ライフスタイルの提案「十人十家」は、現在20プランに留まっているが、2025年度には合計50プランへと拡充し、工事店による「みんなの”十人十家”」の事例を2022年8月から募集開始し、2025年度には100事例を公表する。
さらにリフォームには「困りごと」や「不安」が付きまとうが、これを払しょくするため、2022年10月に「TDYオンラインリフォーム相談センター」を開設、リフォームの困りごと、不安に幅広い範囲に対応する。

TDYアライアンスは次のステージに進むと述べるYKK APの堀代表取締役社長
また、「リフォームの費用」へ関心が高く、すでにTOTOではトイレのリモデルの参考価格を提示している。ここにDAIKEN、YKK APの2社も足並みをそろえ、フローリングや窓がある場合を想定し、空間としての参考価格を提示することも明らかにした。
施工面について、リモデルクラブ店は約5,000店あり、その中で空間工事、間取りの変更やフルスケルトン、トイレや玄関空間など得意分野もそれぞれある。TDYでは「十人十家」の提案を進め、空間工事に対応する目的で工事店を増強する。工事品質向上、提案力向上のサポート展開が狙いだ。いたずらに店数を増やすよりも顧客対応力を向上していくというのがスタンスだ。

工事店の工事品質向上、提案力をサポートし、より満足度の高いリモデルへ
次に、リモデル価値提案活動としては、暮らしかなえる「TDYリモデル博」を、TDY リフォーム 情報サイトにおいて7~10月にかけてオンラインで、「TDYコラボレーションショールームフェア」を7月末(6日間)および8月末(6日間)にかけて開催する。顧客がリフォームに一歩進めるための、重要なイベントとして位置付けていると、YKK APの堀代表取締役社長は示した。
この後、質疑応答に移った。
これからのTDYアライアンスの3社長の想い
――20年間についての想いをコメントしていただければと思います。
清田社長(TOTO) この20年間では、各社の事情を尊重しながら非常に良い関係を築けてきたと思います。この活動を通じてリモデル空間をワンストップで提案できたことは大きな意義がありました。引き続きコラボレーションを構築していく中で、これから先は顧客に初期段階から寄り添い、TDYを選んでよかったと、長きにわたるファンづくりを進めていきたいです。
億田社長(DAIKEN) これからのTDYの方向性としては、「十人十家」はまだスタートしたばかりであり、この辺りをさらに進化させたい。顧客がこういう家や空間に住みたいというあこがれや夢を具現化させるように提案していきたいと思います。
堀社長(YKK AP) YKK APはもともと新築が中心でしたが、この20年間で顧客とTOTO・DAIKEN・YKK APの3社をつなぐネットワーク「TOTOリモデルクラブ」に加盟している施工会社「リモデルクラブ店」での売上は20倍に、また、リモデルの商品は12倍に増加しています。今後ともリモデルの売上全般が伸びることを期待しています。
あこがれの空間は当社1社ではとても具現化するのは難しい。具現化のためには3社の商品がそろっていくことが必要です。商品開発で言えば、お風呂の窓についてはまったく意識していなかったのですが、TDYでお風呂の窓についてあらためて考える機会があり、良い視点が生まれたと思いました。今後も”あこがれ”についてどう貢献できるか、どのような商品開発を展開していくかが次の10年への期待となります。

TDYアライアンスの20年間にわたる成長ステージ
リモデル需要は引き続き堅調の見通し
――今後のリモデルの需要動向やコロナ禍での影響については。
清田社長(TOTO) おうち時間の滞在が長くなったことで、リモデルについて追い風が流れたと分析しています。さらにテレワークの環境が一気に進み、自宅で仕事をすることが増えたこともあり、自宅のあり方も変化したと感じています。2年超にわたりさまざまな制約がある中で、顧客も千差万別ですが、衛生や清潔について感度が変わってきました。そのニーズをしっかりととらえ、TDYが商品開発を進め引き続き堅調に行っていけば、支持をいただけると考えています。
億田社長(DAIKEN) コロナ禍では家への関心が高まりました。とくに音に関する部分、吸音や防音への問い合わせも多く、関連商材の出荷が増えています。
堀社長(YKK AP) 換気のニーズや窓への関心が高まっています。次に外の音が聞こえないように防音にも問い合わせが多く、省エネ以外にも求められることが増えました。コロナ禍によって当社の商品に注目が集まっています。
――カーボンニュートラルの文脈でTDYの拡大は。
清田社長(TOTO) カーボンニュートラルはTDYで意識していくことが肝要です。加えて、住宅業界全体でZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を意識していく中で、必要な機能や商材が出てきます。そこでTDYを中心としながらも、そういったサービスを持つ企業と一緒に展開し、輪を広げていきます。
――施工への取組みはどうお考えですか。
清田社長(TOTO) TDYでは今後とも空間提案をしていきますが、施工の担い手が減少していることは重要な懸念点です。とはいえ現在、TDYが共同で施工体制を一元化することはありませんが、各社で商品をつくっていく上で、施工を意識した商品開発をそれぞれ進めています。さまざまな情報交換をしていくうえで、施工に関する取組みについて強化していきます。

アライアンスの効果として、「TDYコラボレーションショールーム」の存在は大きい
――「TDYコラボレーションショールーム」の今後の方向性については。
清田社長(TOTO) 現在、13か所ありますが、市場の状況を踏まえながら、計画を立てていきたいと考えています。
――参考価格の提示については。
清田社長(TOTO) TOTOでは、幅を持たせながら参考価格を提示しています。ただ、例えば、浴室空間であれば窓を含めた価格はどのくらい掛かるのかという顧客からの質問もあります。まずは浴室とトイレの空間でそこに窓がある場合、フローリングがある場合、といった参考価格の提示を進めていきます。
――20年間で売上が1.5倍となりましたが、アライアンスの効果はどれほどでしたか。また、今後の目標については。
清田社長(TOTO) アライアンスの効果については、残念ながら推し量れておりません。ただし、各社それぞれであった提案が空間に拡大したので、顧客のイメージが膨らんだのではないでしょうか。また、「TDYコラボレーションショールーム」では、ワンストップでリモデル内容を提示できましたので、TDYの売上に貢献したと思っています。
私どもの活動はソフトアライアンスですので、基本的にTDYで活動しながらも、各社がそれぞれリモデルの売上を高めていくことを目標に据えています。
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