中途採用でも、中途採用として扱わない

寺村さんが手がけた南芦屋浜PA(阪神高速提供写真)
――阪神高速ではどのようなお仕事をしてきましたか?
寺村さん 最初の配属先は、当時の神戸管理部施設工事課で、工事の現場監理を担当していました。立体駐車場の工事を担当したのですが、この工事は、津波が起きたときに、管理用車両が水に浸からないよう、高速道路本線に直接つながる場所に建設するものでした。あとは2つのパーキングエリアを新設する工事を担当しました。
その後、管理企画部施設保全課に異動し、主にパーキングエリアの新設や新交通管制室改修などの設計、工事発注業務を担当しました。現在は、保全交通部施設管理課に所属し、建築物全体に関する仕様書やガイドラインのとりまとめを担当しています。

寺村さんが手がけた尼崎PA(阪神高速提供写真)
――中途入社ということですが、スムーズに仕事に入れましたか?
寺村さん 中途とは言え、阪神高速独特のルールなどもあるので、最初は、当然ながら先輩などに教えてもらいながら仕事を覚えていきました。ただ、建物を計画設計して、完成させるという点では、前職と基本的に同じなので、「誰と何を調整して、これをしなければならない」というところは、前職の経験を活かせたかなと思っています。
阪神高速という会社は、中途採用を「中途採用として扱わない」ところがあると感じています。周りの社員は、こちらが1年目だとしても、まるで昔からいる社員のように接してくれます。
――大丹生さん、これまでの仕事は?
大丹生さん 最初の配属先は、建設・更新事業本部堺建設部の施設課でした。大和川線という新規路線の建設を所管する部署で、私は換気所や料金所、事務所棟などの工事監理を担当しました。その後は、管理本部神戸管理・保全部の施設工事課に異動し、料金所新築工事や事務所の改修工事などの工事監理を担当しました。現在は、保全交通部施設管理課で積算や設計などの基準やガイドラインづくりを担当しています。

大丹生さんが手がけた今池換気所(阪神高速提供写真)

同じく、大丹生さんが手がけた鉄砲(東行)料金所(阪神高速提供写真)
――中村さん、これまでのお仕事は?
中村さん 最初の配属先は、管理企画部の施設保全課で、泉大津大型専用パーキングの設計を担当しました。あと、摩耶にある基地事務所の設計発注も担当しました。現在の管理本部神戸管理・保全部施設工事課では、自分が設計発注した摩耶の基地事務所の工事監理を担当しています。
泉大津大型専用パーキングで担当したのは、木造の休憩施設の設計でした。高架上の木造PAということで阪神高速としては初、全国的にもほとんど例のない施設の設計だったのですが、初めて担当した仕事だったので、大変でしたが、非常にやりがいを感じながら、取り組めた仕事でした。

中村さんが手がけた泉大津大型専用PA(阪神高速提供写真)
――いきなりハードルの高い仕事を任された感じでしたか?
中村さん そうですね。ハードルがどれだけ高いかもよくわからない状態でした。上司や先輩に教わりながら、仕事を覚えていきました。
――設計する上で、ポイントなどはありましたか?
中村さん 内装材に地域産材を使用したことです。
――3年目というと、入社していきなりテレワークでしたか?
中村さん はい、入社してすぐに4日に1回出勤の分散勤務になりました。在宅で仕事をしていたのですが、TV会議やチャットをしながら、なんとか仕事をしていました。
様々な制約がある中で、いかに良い建築物をつくるかが、おもしろい

パソコン作業中の寺村さん(阪神高速提供写真)
――阪神高速で建築をやる上で、ツライこととか、難しいことはありますか?
寺村さん ツラいと感じたことはあまりありませんが。やはり、阪神高速の建築物は、普通の建築物とは違うので、そういう意味での難しさを感じることはあります。たとえば、普通の建築物は地面に杭を打ってその上に建てますが、阪神高速の場合は、土木構造物の上に建てます。地面の上に建てるとしても、だいたい路下(道路下)です。建築物からすれば、道路は支障物になるので、一筋縄では建てられないところがあります。この辺は、苦労と言えば苦労ですが、おもしろさでもあります。
――建築の仕事を進める上では土木系社員との連携が必要だと?
寺村さん そういうことですね。密な連携がない限り、建築物として成り立たないと思っています。さらに言えば、阪神高速では土木系と施設系に分かれていて、施設系の中には建築系の他に電気系、機械系社員もおり、電気系社員や機械系社員との連携も不可欠です。土木や電気、機械との連携ややりとりも、大変と言えば大変ですが、ある意味この仕事のおもしろさだと思っています。
たとえば、パーキングエリアを新設する場合、限られた場所の限られたスペースに設置せざるをえないわけです。様々な制約がある中で、お客様にしっかり休んでもらえる場所にするため、いろいろなモノを詰め込んで、良い建築物をつくろうとするわけです。ただ、そうしようとすると、重量的に厳しくなるという制約が出てきたりします。そういうこともひっくるめて、それが建築の醍醐味だったりするわけです。ちなみに、阪神高速では、パーキングエリアのことを「ほっと処(ほっとしょ)」と呼んでいます。
建築物は、誰もが日常的に使うインフラです。たとえば、阪神高速の社員は、誰もが建築物の中で仕事をしています。そういう意味で、建築は、誰もが接する構造物であると考えています。逆に言えば、建築は誰からもクレームを受けやすいという側面もあるわけですが(笑)。
少人数な存在だけに、団結力は強い

現場で打ち合わせ中の中村さん(阪神高速提供写真)
――阪神高速の建築系社員は何名ですか?
寺村さん 25名です。土木系社員の8分の1以下です。阪神高速の職種別の人数では最少な存在です。その分、社員一人ひとりが関われる部分はスゴく広いので、それは良いことだと思っています。土木系だと、全体統括、設計、発注は完全に別個の部署ですが、建築はそうではありません。
――少ない分、団結が強いと言えますか?
寺村さん そういうところはあると思います。毎年、建築系全員の集まりもありますし。そういう意味では団結は強いんじゃないかと思っています。意識共有などもスゴくしやすいと思いますが、どう?
中村さん 強いです。この人数だからこそだと思います。
寺村さん そうだよね(笑)。
なんでそんなやり方してんの?
――土木と建築の文化の違いを感じることはありますか?
寺村さん 土木と建築は、同じコンクリートと鉄を使うとか、学問的にも近しいものがありますが、似て非なるところもあります。たとえば、コンクリート一つとっても、建築のコンクリートは土木から見れば、スゴくゆるゆるのコンクリートですし、杭や構造の規模や考え方なども違います。国交省の基準も建築と土木では異なります。
事務所の隣で建築の工事をしていると、それを見ていた土木系社員から「なんでそんなやり方してんの?」とツッコまれたことがありました(笑)。「そこはカタチを変えたらええやん」みたいなことも言われたのですが、確認申請という行政手続きがあり、図面通りつくらないとダメなので、現場でカタチを変えることはできないんです。似ているからこそ、なにかとツッコまれる、そこに文化の違いを感じるということはありますね。
魅力は幅の広さと達成感、加えて働きやすさ

打ち合わせ中の大丹生さん(阪神高速提供写真)
――阪神高速で建築をやることの魅力は?
寺村さん 関西の大動脈として社会経済の発展に寄与できるところです。パーキングエリアのようにお客様の目に触れるものをはじめ、通り過ぎてしまう料金所、目に見えない換気所なども道路の機能維持に欠かせない必要な建築物です。そういう建築物は、普通の建築物と比べると、ニッチで、マニアックなモノばかりですが、事務所のように普通の建築物もあったりします。ニッチでマニアックなモノから、普通のモノまで、幅広く携われるのが、私にとっては魅力です。
――大丹生さん、建築の魅力は?
大丹生さん 自分が関わった建築物が完成し、実際に利用されるのを見たときに、お客様や社会のために貢献したなと、達成感を味わえるのが一つの魅力だと思っています。土木構造物ありきで建築物の構造を決める等制約は厳しいですが、そういう制約があるだけに、モノが完成したときの達成感はヒトシオです。
――中村さん、どうですか?
中村さん 私は今、自分が設計した建築物の工事監理をしていますが、こういう仕事ができるのは、阪神高速ならではだなと思っています。あと、休みがとりやすく、働きやすい環境が整っているのも魅力の一つだと思います。ちゃんと仕事の調整をすれば、1週間ぐらい休むこともできます。自分が子育てをするようになっても、無理なく働き続けられそうだと思っています。
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