若手の積極登用で、建築リニューアル業界を勝ち抜く
日本は人口減少を迎える中、将来的には必ず建築リニューアル時代が到来する。ゼネコン各社も建築リニューアル専門会社を抱え、将来を見据えたアクションを展開している。
ケーアンドイー株式会社は、「建設サービス業の実践」をモットーに、建築リニューアルのスペシャリストとして2001年に株式会社熊谷組のリニューアル工事部門から独立し、着実に実績を伸ばしている。
中でも大きな特長は、建築リニューアルでのDXの促進や、より自由で働きやすい会社を目指し、若手社員の意見を積極的に取り入れることで、競争が激化する建築リニューアル業界にあって、毎年10人以上の新卒社員を採用できている点だ。
ケーアンドイーはどのような戦略をもって建築リニューアル市場での差別化を図っているのか。代表取締役の岩間和久氏と取締役常務執行役員工事統括部長の北川宏幸氏の両者に話を聞いた。
躯体から仕上げまでワンストップ提案
――建築リニューアル市場の課題などはどんなところにありますか。
岩間和久氏(以下、岩間社長) 短期と長期の課題があります。まず、長期的な課題については、これから日本は本格的に人口減少社会・超高齢化社会が到来しますが、それは新築工事が減少することを意味します。すると当然、新築工事からリニューアル工事に参入する企業は増加します。とはいえ、私たちにとっての熊谷組のように、ビルには必ず元施工のゼネコンが存在しますから、他社グループが施工したビルのリニューアル工事に参入することは簡単ではないことも事実ではありますが。
また、当社でもSDGsやカーボンニュートラルなど環境面への取組みを重視していますが、顧客からは「投資に見合うリターンがあるのか」との質問を受けることがあります。確かに、照明や空調の改修だけでは、消費エネルギーの減少に効果があるかと言えば難しい。十分な効果を発揮するには、外壁の改修などを合わせて実施すべきですが、それには非常に大きなイニシャルコストが掛かります。今後は、建設会社側が丁寧に提案をし、ZEBに前向きになっていただけるビルオーナー増やしていかなければなりません。
――短期的な課題は。
北川宏幸氏(以下、北川常務) 2024年4月から時間外労働の上限規制が建設業にも適用されるため、今後は顧客に対してより適切な工期の設定を提案していく必要があります。現時点でも、計画段階から週休2日の確保を目的として工程表の中に盛り込み顧客に提示していますが、竣工日が決まって工期が厳しいと、どうしても週休2日を確保できない状況も出てきます。
とくに、当社が手掛けているような建築リニューアル工事は、顧客が休んでいる祝祭日や土日に施工することが多い。当社としても、顧客が建物を使用されている平日に営業しながら施工する「居たまま工事」などの工夫をしていますが、新築工事よりも施工上の制約は多くなります。また、リニューアル工事は工事規模も大きくないため、一人現場も多くなります。新築のように所長や次席がいるような組織体系ではなく、交代要員も少ないことから、休みがとりづらいことは大きな課題です。