わからないことは先輩に教えてもらったので、とくに失敗なくきている
――仕事をする上で、困ったことはなかったのですか?
黒木さん それはもちろんありました。技術的な面では不安要素しかないので。そういうときは、先輩に電話して教えてもらっていました。
たとえば、道路改良の現場では、重力式基礎を打設した後、ブロックを積んでいくという工程があったのですが、この際のコンクリートの品質管理に関するルールについて、曖昧な部分がありました。まずは自分で調べるわけですが、教科書通りやってうまくいくとは限りません。そういうところを先輩から教えてもらうわけです。
――いろいろな現場をやってみてどうですか?
黒木さん どちらかと言えば土工が多いので、コンクリート構造物を作るとか、そういう工事に携わってみたいですね。
――後輩に教えることはありますか?
黒木さん 河川掘削の現場は、後輩と2人でやっていて、ボクが主任技術者で後輩が現場代理人をしていました。とくに問題なくできました。
――住民対応はいかがでしたか?
黒木さん 道路改良の現場では、地元の区長さんなどと毎月お話をしていたので、地元の方々とはけっこう仲良くなっていました。4つの現場が動いていたので、安全協議会があったのですが、私が代表をやっていました。他の業者さんとのやりとりもやっていましたが、そちらもほぼうまくいきました。
――順風満帆ですね。
黒木さん そうですね(笑)。あまり失敗することはなかったですね。あくまでこれまでのところはですが。
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ICTイコールDXとは考えていない
――内山建設での働きやすさについて、どう感じていますか?
西口さん 建設業界的にはICTによるDXが言われていますが、私はICTイコールDXとは考えていません。べつにICTを活用しなくてもDXはできると思っているからです。働き方に関するいろいろな規制がありますが、それが本当に働きやすさにつながっていて、自分のためになっているか、疑問がなくはなりません。
私が若いころは、今よりいろいろな規制がユルかったので、夜遅くまで働くこともありました。それなりの時間をかけることで、仕事を覚えていったわけです。今の自分があるのは、このときの経験があるからだと感じています。
でも、最近はそういうことができません。ICTを活用したとしても、若い社員が仕事をちゃんと覚えられているか、不安に思っています。ICTのことは身についているかもしれませんが、現場の流れとか、本質的なことが身につくのか、非常に疑問です。
それはそれとして、私にとっては、内山建設は働いたら働いた分だけお金をもらうことができる会社です。そういう意味で働きやすい会社だと思っています。これから働き方改革が進んだとしても、若い人たちにとって、そういう会社であり続けてほしいと思います。
――最近は労働時間は減りましたか?
西口さん 工種によります。たとえば、河川掘削工事は、以前に比べ時間外は減りましたが、治山工事は、移動時間がかかるので、以前とあまり変わりません。書類づくりを含めて、時間内で収めるのは、かなり難しいです。
――発注者もいろいろ配慮するようになっているのではないですか?
西口さん 以前は出さなくても良さそうな書類もありましたが、発注者に関しては、最近は出すべき書類の量は減ってきてはいます。ただ、安全衛生関係については、提出すべき書類量は変わっていません。むしろ、規制が厳しくなったために、前より多くなっています。
――働き方改革のために、仕事が増えたということですね。
西口さん 本当に厳格にやろうとすると、ものスゴく時間と労力がかかってしまいます。
休みが増えるのはありがたいが、それで納得のいく仕事ができるのか
――黒木さん、内山建設の働きやすさについて、どうですか?
黒木さん ボクも西口さんと同じような意見を持っています。会社からは「休め休め」と言われるんですが、そんなに休んで、「大丈夫なのかな、やっていけるのかな」と不安になります。
ボクの場合、世代的に中途半端なんですよ。上の世代にベテランの方々がいて、下には若い子がいるわけですが、早く上の世代に追いつきたいのに、下の世代に合わせないといけないんです。下の世代に合わせて仕事をしていると、ドンドン仕事が遅れていきます。かと言って、仕事を優先すると、職場の雰囲気が悪化してしまいます。「帰りたい、帰りたい」が出てきたりするわけです(笑)。
「納得するまで仕事をしたい」というのが、ボクの正直な気持ちです。とくに現場を持っているときは、仕事を家に持ち帰ったこともあります。
――会社からは「帰れ」と言われるのですか?
黒木さん 言われます。最近は全体会議でも「残業をなくす」と念をおされます。そういう意味でシンドイです。若い子も、「ちゃんとルールは守ってくださいよ」という考え方です。
たしかに、家庭持ちのボクからすると、家族との時間が増えて嬉しい面もあります。ただ、自分のキャリアや成長を考えると、やはり納得するまで仕事をやりたいという感情が残ります。もっと良いやり方を模索しているところです。
――どうバランスをとるか、ということですね。
黒木さん そういうことですね。そういう状況なので、たとえば、若い子を現場に連れて行っても、彼らにできることが少ないので、仕事を任せることができず、ボクの手が空くのをただ待っている時間が長くなるんです。ボク的にはそのほうがラクですけど、それじゃダメだろうと思うんです。