YKK AP(株)(東京都千代田区、魚津彰社長)は、樹脂窓「APW」シリーズの普及についてさらなる施策に本腰を入れている。
同社の樹脂窓を採用し、国土交通省が2022年に新設した断熱等性能等級5・6・7 の「高性能住宅」を施工可能な全国各地の地域工務店とのネットワークが動き出している。その名も、「樹脂窓で高性能な家づくりに取り組む地域工務店の会(VH会)」だ。
樹脂窓への周知活動に注力し、それを反映するかのように樹脂窓の売上高やシェアを年々拡大している。2023年5月末時点では全国の地域工務店836社が入会し、今後さらなる入会希望者も控えている。入会した地域工務店を「APW樹脂窓シリーズ取扱地域工務店」として YKK AP 公式ウェブサイト内で発信、SDGs(持続可能な開発目標) やカーボンニュートラルの実現に向けた高性能住宅の普及促進を目指す。
今回、この活動について、YKK AP住宅本部営業企画部窓事業推進室次長の今野哲生氏と同事業推進室課長の沢井千尋氏に話を聞いた。
年々、樹脂窓は売上とシェアを伸ばす

(左から)YKK AP住宅本部営業企画部窓事業推進室次長の今野哲生氏と同事業推進室課長の沢井千尋氏
――YKK APにおける樹脂窓の販売状況を教えてください。
今野哲生氏(以下、今野次長) 私が所属する窓事業推進室では、樹脂窓の事業推進を行う部署となります。その中で主要なラインアップが「APW」という樹脂窓シリーズです。2009年から東北地域限定で販売を開始し、2011年から全国に展開しています。
現在、YKK APの販売窓数における樹脂窓比率は2022年度で31%となり、年間では100万窓を超えています。当初は東北工場から供給をスタートしましたが、首都圏向けに埼玉窓工場を始め、東北、六甲、北海道、滑川、四国と全国に生産拠点を広げています。窓種バリエーションやリフォーム対応商品の追加、防火窓に対応するなど商品力を高めるとともに普及活動を進め、発売当時9%だった樹脂窓化率を高めていきました。
沢井千尋さん(以下、沢井さん) この「APW」は、「快適」「健康」「ローエネ」「資産価値」という4つの利点がある樹脂窓です。断熱性能の高い窓なので、夏は涼しく、冬は暖かい『快適』な住まいを実現します。また、室内の温度差緩和や空調の高効率につながり、冬場のヒートショックや夏場の室内での熱中症など『健康』リスクを軽減します。さらには、少ないエネルギーでの暮らし『ローエネ』を提供し、ライフサイクルコストを抑えて長く快適に暮らせる『資産価値」の高い家づくりに貢献しています。
「APW」を使う工務店をフィーチャー

年々、存在感が高まる樹脂窓
――東北から始まった樹脂窓の拡販が、今では全国展開しているのですね。
今野次長 ただ、当初は窓単体の話を工務店様にしても、なかなか響かなかった現状がありました。そこで新建新聞社様と共同で2018年から窓を含めた高性能住宅をPRする雑誌を作成するなどの販促ツールを発行して、説明をしています。
そこから派生してYouTubeチャンネルも開設し、情報発信にもつとめています。こうした取組みにより、お施主様や工務店様まで樹脂窓の認知度が向上していきました。樹脂窓をさらに普及し、周知徹底を図る一環として、今回の取材テーマでもある「樹脂窓で高性能な家づくりに取り組む地域工務店の会」を2022年8月に設立しました。
――「樹脂窓で高性能な家づくりに取り組む地域工務店の会」設立の狙いは。
今野次長 地域工務店様にも高性能の戸建て住宅を建築される中で樹脂窓を採用している会社が年々増えていて、地域工務店様に対してできることはないかと部内で検討を続けていました。そこでYKK APのHPの樹脂窓サイトの中に、「APW 樹脂窓シリーズ 取扱地域工務店」のコーナーを設けました。
エンドユーザーの皆さまが「APW」を使用している工務店はどこだろうと探されるときに、このサイトを使えば調べることが可能です。これは「APW」を使っていただける工務店をフィーチャーする取組みです。断熱等性能等級5・6・7、とくに6・7の普及促進、樹脂窓のさらなる認知向上などでも効果が生まれることに期待しています。