シールドを通した後、連絡橋の基礎を受け替える

中村 克成さん 関東地方整備局 東京空港整備事務所 第四建設管理官室第五調整係長
シールドトンネル区間のルートは、警察署南側の旧タクシープールの立坑から、警察署、エアサイド連絡橋、貨物ターミナルといった既存施設直下の深さ10m〜30mを掘削したのち、誘導路や滑走路などの下の深さ30m〜40mを掘削する。シールド断面の外径は11.6m(内径10.6m)。
シールド区間の施工上のポイントとしては、最初の浅く掘る区間での地上構造物の基礎などへの影響回避だ。とくにエアサイド連絡橋(制限区域内の車両が通行する橋)については、基礎の受け替えを行う必要がある。既存杭を部分的に切断撤去し、シールドを通した後、基礎を受け替える躯体を構築するわけだ。あとは、浅い区間は軟弱地盤なので、地盤改良したあとの掘削作業となる。深い区間については固い地盤なので、普通に掘削する。
シールド区間の設計積算を担当する中村さんはこう話す。
「シールド通過範囲の地表面には既存施設が数多くあります。そのため、既存施設にシールドの掘削による影響が起こらないように検討を行っています。例えば、数値解析の条件や結果が妥当かどうか、また、その結果どのような対策が必要となるかといった点を確認しています。
ニュースになるような大きなプロジェクトに携われるのが嬉しいです。港湾空港の職員でありながら、鉄道の仕事に関われるのも、やってて楽しいですね。以前にもこの事務所に勤務していたことがあったのですが、そのときは滑走路の設計を担当しました。希望を出してまた配属になったんです(笑)。とにかくやりがいを感じられる職場ですね」
通勤するだけでも楽しい職場

京急引上線の事業イメージ(国土交通省資料より)
京急引上線の整備としては、羽田空港ターミナル駅からモノレール、第2旅客ターミナルビル基礎杭間、駐機場(エプロン)下を開削&シールドにて約300m掘進し、引上線区間を築造する。これに合わせ、京急駅舎の改築、JR新駅との連絡通路も構築する。
施工上のポイントは、供用中の既存施設などが近接している中での施工となることのほか、他の事業者が進めているターミナル拡張工事や共同溝工事とも近接することから、関係者と緊密に協議しながら施工を進める必要があることだ。

鈴木 理恵さん 関東地方整備局 東京空港整備事務所 事業調整課第四工務係長
関係者との協議などを担当している鈴木さんこう話す。
「工事の実施に向け、鉄道事業者、空港管理者、道路管理者、警視庁、消防庁、ライフライン事業者等、非常に多くの関係者と協議を行う必要があります。そのため、いつまでに何をどこまで完了させるかといった業務マネジメントが重要です。事務所のプロジェクトチームでは、毎週のミーティングで情報共有をしながらチーム一丸となって事業に取り組んでいます。たんにトンネルを掘るだけでなく、国益につながる非常に大きなプロジェクトを担当できるので、スゴくやりがいを感じながら仕事ができています」
ちなみに、鈴木さんは四国出身で「(東京空港整備事務所に)通勤するだけでも楽しいです」と言う。この職場にゾッコンのようだ。
JR開業は31年度の予定。工期的にはキビしい
ところで、気になるのは工期だ。JR東日本は、JR新線の開業を2031年度と発表しているので、基盤整備事業も当然、それに間に合わせる必要がある。この点、今さんは「(工期的には)キビしいです」と指摘する。
ここにECI発注の意図があるようだ。工期短縮に関して、施工者からどのような技術提案が出されるかが、注目される。
人材採用・企業PR・販促等を強力サポート!
「施工の神様」に取材してほしい企業・個人の方は、
こちらからお気軽にお問い合わせください。