南海トラフ巨大地震対策が喫緊の課題
――近畿地方整備局の現状、課題について、どう整理していますか?
見坂さん 近畿地方整備局は、京阪神だけでなく、北は福井、南は和歌山と広いエリアを抱えています。京阪神では、阪神高速など有料道路制度を活用した都市型のインフラ整備が進められており、地方部では、これまで順番待ちをしていた高規格道路の整備が進められているところです。
冒頭に申し上げた防災の観点でいきますと、現在、南海トラフ巨大地震として、マグニチュード8〜9クラスの地震がいつ起きてもおかしくない状況になっています。管内で一番危険なのは和歌山で、地震発生に伴い、最大約17mの津波が予想されています。したがって、津波対策が喫緊の課題になっています。
津波対策として、浸水が予想されている国道の代替路として、近畿自動車道紀勢線の整備を進めています。私が京都国道事務所にいたころに比べると、だいぶ南のほうまで整備が進んでおり、現在は南端の串本町周辺のすさみ串本道路、串本太地道路などの整備を進めているところです。防災対策としての道路整備という側面があるので、スピード感を持って進めていきたいと考えています。
ミッシングリンクが非常に多い
――いわゆる高規格道路のミッシングリンクはどうなっていますか?
見坂さん それは私の専門です(笑)。管内ではいろいろなところで道路整備を進めていますが、ミッシングリンクが非常に多いんです。大阪都市圏で見ても、阪神高速の湾岸線西伸部は、六甲アイランドまでしかつながっていません。淀川左岸線も現在整備中で、いずれ第二京阪道路までつながないと意味がないと思っています。第二名神道路についても、大津〜城陽間がつながっていませんし、高槻のほうもつながっていません。直轄事業でも、さきほどお話しした紀勢線はつながっていませんし、北近畿豊岡自動車道もつながっていません。
現状はこういった感じですが、5年後、10年後に、これらのミッシングリンクがつながれば、管内全域として交通アクセスは格段に良くなります。ミッシングリンクの解消はすぐにできるものではありませんが、私が局長の間にも、しっかり重点を置いて進めていきます。
ミッシングリンクについては、まだ構想中の区間は多少時間をかけてもいいですが、事業化している区間については、スケジュール感を持って早く完成させることが公共事業の鉄則だと考えています。そういった心構えで、ミッシングリンクの解消に取り組んでいきます。
大阪湾岸道路西伸部については、先日六甲アイランドとポートアイランドを跨ぐ橋の基本構造が決まり、今後工事を発注する予定です。軟弱地盤なので、時間もお金もかかる事業ですが、われわれとしては、阪神高速、地元自治体と一緒になって、事業をしっかり進めていきたいと思います。
淀川左岸線延伸部についても、まだ時間がかかる事業ですが、第二京阪道路とつながるようしっかりとやっていきたいと考えています。
――構想中の路線にはどのようなものがあるのですか?
見坂さん たとえば、紀伊半島(和歌山市)と淡路島(洲本市)をつなぐ紀淡連絡道路があります。この道路は、私が道路局の係長のときに調査を進めた道路なんですが、残念ながら、一旦中止になった道路です。ただ、いずれ、20年後、30年後には必要になる道路だと思っているので、構想中の道路として位置付けておくのは大事なことだと考えています。
まちの活性化には将来を見据えたインフラ整備が必要
――大阪市内では再開発が進められています。
見坂さん 京阪神の動きに目を向けると、大阪・関西万博の後にも、リニア中央新幹線の開業、北陸新幹線の開業といったビッグイベントが予定されています。いずれも20数年後のイベントではありますが、インフラ整備というものは、長期的な視点を持ち、将来を見据えて、今のうちから動いていかなければなりません。
大阪中心部に関して言えば、都市再生緊急整備地区として、大阪駅・梅田駅周辺、新大阪駅周辺などが地区指定されており、再開発が進められています。この都市再生事業については、近畿地方整備局としても、大阪府、大阪市と連携しながら、支援させていただいています。
大阪市役所の方のお話では、これまではキタとミナミが大阪の中心地でしたが、東のほうにある大阪城公園周辺、ベイエリアにある大阪コスモスクエア駅周辺など、その他のエリアにも目を向けてまちづくり、活性化していきたいという思いをお持ちです。大阪が元気になるためには、キタとミナミ以外のエリアの活性化が必要であり、そのためには鉄道や道路などのインフラ整備も必要になります。われわれとしても、その辺の支援をしっかりやっていきたいと思っています。
大和川で流域治水を強力に推進
――河川の動きとしてはなにがありますか?
見坂さん ゲリラ豪雨対策としては、管内の河川で流域治水の取り組みを進めているところですが、その中でも、大和川は、流域治水関連法施行後、全国初となる特定都市河川指定を受け、流域治水を強力に進めているところです。流域の自治体などと連携しながら、遊水池などハード整備をはじめ、ため池の活用、土地利用規制といった取り組みを進めています。大和川中流域の窪田地区では、災害時の活動拠点として河川防災ステーションの整備に今年度から着手しています。
港でのカーボンニュートラルを推進
――港湾はどうですか?
見坂さん 港湾事業としては、神戸港のポートアイランドで耐震対策を実施しているほか、和歌山港で津波対策を行っています。港湾での重要な取り組みとして、カーボンニュートラルポートの形成というものがあります。関西のベイエリアには、大阪神戸を中心に工業地帯が形成されていますが、立地企業のカーボンニュートラルに対する意識が高いです。港湾関係者だけでなく、荷主の方にもご参加いただきながら、港におけるカーボンニュートラルを推進していくことにしています。
増えた儲けは社員や協力会社に還元してほしい
――いわゆる働き方改革への対応について、どう取り組んでいきますか。
見坂さん 魅力ある建設業の実現のためには、かつての3K(キツイ、キタナイ、キケン)から新しい3K(給与が良い、希望がある、休暇が取れる)にシフトしなければなりません。現場をあずかる者として、新3Kをしっかり推進していきたいと思っています。
われわれ発注者としては、今年度、設計労務単価を5%ほど上げましたが、受注者の皆さんには、その分を社員や技能労働者の給料にしっかり還元していただくことを期待しています。自分で試算してみたのですが、工事の規模にもよりますが、設計労務単価を5%上げると、予定価格がだいたい2%ほど上がるんです。建設業界に対しては、増えた儲けを内部留保するのではなく、社員や協力会社に還元してほしいということを引き続きお願いしたいです。大事なことですので。
トラブったわ、って局長のところに行くのもそれなりに勇気と準備がいるけどな
あんたらが雇ってくる委託監督、、、
あいつらの横着な態度をなんとかしろよ
あいつらがいる時点で魅力もクソもない