「君たちみたいなのが現れるのをずっと待ってたよ!」
――安全書類づくりに関するノウハウはどうやって蓄積していったのですか。
呂さん とにかくみんなで勉強しました。安全書類に関する本がそこらじゅうに積んでありました。弊社のプロダクトマネージャーは、安全書類に関して日本一詳しんじゃないかと思っています。
――システム開発にはどれぐらいの期間かかりましたか?
呂さん ある程度完成されたものができたのは、2年後ぐらいですね。ゼロイチでシステムを開発するときは、大人数よりも少数精鋭でやったほうが良い骨組みのものができるので、ベテランのエンジニアを中心に数人で進めました。
――ざっくりした質問で恐縮ですが、苦労したところやこだわった点などを教えてください。
呂さん 私が事業を立ち上げるときにいつもやっていることですが、自分たちを応援してくれる味方をつくることに注力しました。まず味方になってくれる方を探すところから始め、いろいろなお客様にお会いする中から、その方を見つけました。
けっこう大きめのゼネコンの社員さんだったのですが、安全書類作成に関するサービスを始めようと思うんですけどとお話しすると、スゴく興味を持っていただいて、初対面だったのですが、「君たちみたいなのが現れるのをずっと待ってたよ!」と言われました(笑)。
そこで、ベータ版をお渡しするので、実際にお使いいただきました。その方から密にアドバイスをいただきながら、開発することができました。一緒に揉み上げて磨き上げたものを正式版としてローンチさせたわけです。その方にはスゴく感謝しています。
「みんなもっと使おうよ」という流れをつくるのが、勝ちスジ
――グリーンファイルに手応えを感じたのはいつですか?
呂さん 去年です。
と言うのも、このサービスが普及するのは最初からわかっていたので、目の前の売上を上げるために、営業をたくさん雇ってバンバン売るというやり方は、あえてしないと決めていたんです。そこにリソースをかけるよりは、サービスの改善のためにさくべきだと考えました。
提供した価値に対して、お客様に満足していただいて、「みんなもっと使おうよ」という中長期的な流れをつくるのが、勝ちスジだという考えがあったからです。セールスよりもプロダクトということで、プロダクトチームの拡大、拡充に一番お金と時間を使いました。マーケティングやセールスにチカラを入れるのは、その後だと考えていました。
なので、セールスは一切してきませんでした。お客様から問い合わせがあったときだけ提案するという感じです。株主が聞いたら、一番おこるパターンですよね(笑)。それでも、ありがたいことに、お客様は増えていきました。広報やセールスにチカラを入れるようになったのは去年です。ずいぶん最近のことですね(笑)。
大臣に「CCUSの普及は任せてください」と言ってしまう

インフラDX大賞受賞式の様子(シェルフィーHPより)
――去年の話でいくと、シェルフィーは令和4年度のインフラDX大賞スタートアップ奨励賞を受賞しましたね。
呂さん その前に他のコンテック企業が受賞していたので、「いいな〜」と思って指をくわえて待っていたところでした(笑)。ただ、目立たないということでやっていたので、仕方ないと思っていました。自信がついたら応募しようと思っていたのですが、知らないうちに社員が応募していました(笑)。その結果、賞をいただいたという感じです。
――受賞してなにか変化はありましたか?
呂さん ありましたね。まず問い合わせが増えました。一番変わったのは、私自身や社員たちで、仕事に対する責任感がより増しましたね。安全書類作成業務を担うのは自分たちなんだという覚悟ができました。
――呂さん自身も意識が変わったと?
呂さん そうです。国土交通大臣から表彰状をいただくとき、「CCUSの普及は任せてください」と言いました(笑)。
ウチは秘伝のスパイスで勝負するカレー屋(笑)
――今はグリーンファイル一本でやっている感じですか。
呂さん はい。建設キャリアアップシステムと連携した入退場システムはやっていますが、基本的には労務管理一本です。そういう会社はウチだけだと思います。他の会社はあれもできるこれもできるというコンビニみたいな感じでやっていますが、ウチは秘伝のスパイスだけで勝負するカレー屋のようなノリでやっています(笑)。
ただ、日本独自の法律に縛られた建設関係の書類づくりに関して、お客様から求められているものはまだたくさんあるので、書類作成サービスを提供する会社として、そういったニーズに応えられるサービスは適宜展開していく考えです。
一番使われているサービス、一番使いやすいサービスを目指す
――今後の目標はなんですか?
呂さん 「建設業界で一番使われているサービスを目指す」ということです。これは来年の目標です。もう見えてきたと思っています。その上で、「一番使いやすいサービスを提供する」も目指していきたいと考えています。と言うのも、SaaSの中には使いにくいものもあるので、最初から毛嫌いされることもあるからです。そこを打破することは、SaaS企業としての責任であり、インフラDX、ひいては建設業界全体への貢献につながると思っているからです。
――読者に向けて、メッセージがあれば。
呂さん インフラDXの流れは無視できないものになっていますが、具体的にどのサービスを使えば良いか、多くの建設会社さんが悩まれていると思います。そんなとき、スーパーゼネコンをはじめ大手が使っているサービスを参考にしがちだと思いますが、「それはあまり参考にならないですよ」ということをお伝えしたいです。
なぜなら、スーパーゼネコンが使っているサービスは、会社の規模に最適化されたサービスなので、多くの建設会社さんにとって、最適ではない可能性が高いからです。安全書類に関して言えば、多くの建設会社さんに最適化されたサービスは、Greenfile.work(グリーンファイルドットワーク)です(笑)。
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