点群データを活用して、桁と干渉物の位置関係を把握

地元の有名人である岩崎弥太郎(明治の実業家)の銅像をあしらった幕
――作業ヤードのすぐ隣がゴルフの練習場ですが、この環境はどうですか?
塩田さん それだけが原因ではありませんが、作業ヤードが狭いです。クレーンが練習場のネットとギリギリの位置で据わっている状態なので、気を使います。あと、ゴルフの練習場の横を県道が通っているので、飛散物には注意しています。
――BIM/CIMやICT関係の取り組みはどうですか?
塩田さん 測量の際に点群データを取っていますので、それを用いて、地盤の高さなどを把握して、ベント設置などの作業に活用しています。
――本社にそういう部隊があるわけですね。
塩田さん そうです。本社にデジタルエンジニアリング部という部署があって、その部署が中心となってやっています。
――3Dデータ活用のメリットは感じますか?
塩田さん そうですね。桁との干渉物を把握するのに役立ちました。木や架空線などの障害物と、桁との位置関係が明確に把握できました。また、ベントと呼ばれる仮設橋脚の基礎地盤の不陸なども把握することができて、現場としては大変助かっています。
――タブレットをお持ちですが、どういう使い方をしているのですか?
塩田さん 図面やエクセルデータなどを入れています。紙の図面だとすぐに汚してしまうので。エクセルは、現場で測ったデータをそのまま打ち込めるので、重宝しています。
落橋しないように横ズレ防止対策を徹底
――安全対策はどうなっていますか?
塩田さん 落橋しないように、ベント部分にサイドブロックという横ズレ防止装置を設けているほか、桁を橋脚やベントにワイヤーで固定するといった対策を講じています。作業ヤードが河川内なので、渇水期の増水に備えて、桁を置く架台などをワイヤーで張って、流されないようにしています。
――河川管理者との協議も担当しているのですか?
塩田さん そうです。本当の河川内での作業は次の渇水期なので、資料の作成などは進めていますが、本格的な協議はまだです。
「一緒にやっていく」というスタンス

現場で施工状況を確認する塩田さん(本人提供)
――竹野さん、塩田さんの働きぶりをどう見ていますか?
竹野さん よくやってくれています。現場の管理をはじめ、機材の手配、発注者との協議などいろいろな仕事をこなしてくれています。
――まだまだ勉強中という時期だと思いますが。
塩田さん 日々チカラ不足を痛感しているところです。失敗して学んでを繰り返しています。1年半ぶりに現場に出たので、記憶が曖昧な部分は教えていただきながら、やっています。
――竹野さん、塩田さんに指導することもあると思いますが、どういうスタンスで接していますか?
竹野さん 「一緒にやっていく」というスタンスです。橋梁は一品一様で、同じ橋梁はありません。前の橋梁はそれでいけたけど、次の橋梁が同じやり方でいけるかと言えば、そんなことはありません。私自身も手探りでやっているところがありますので。
施工管理技士の平均年収を年齢や資格で比較、資格の難易度と年収の関係は?
優しく接してくれるので、楽しく働ける
――働き方改革への対応についてはどうですか?
塩田さん こちらの現場は、土日休みの完全週休2日制をとっています。残業もできる限り短くするということで、月40時間以内ということでやっています。
――ご自身の残業時間はどうですか?
塩田さん 全然大丈夫だと思っています。昼間は現場に出ているので、書類仕事ができるのは作業員さんが帰ってからがメインになります。なので、残業は仕事量に応じて増減がありますが、あまりにも長時間になるということはありません。
――この現場の女性は塩田さんお一人だと思いますが、その辺は大丈夫ですか?
塩田さん 全然大丈夫です。みなさん優しく接してくれていますので、楽しく働いています。
――完成に向けた意気込みをお願いします。
塩田さん まずは安全第一です。日々なにか見つけたら是正して、それを繰り返して事故が絶対に起きないようにしていきます。あとは、作業員さんが作業しやすい環境づくりです。その上で、きちんとした品質のものを納められるように、日々の管理を徹底していきます。
将来のキャリアについては、まあまあ安心しています

高知土木女子(KDJ)なる組織に所属する女子15名が1月12日、塩田さんの現場見学に訪れた。現場見学会の実質的「主役」を担った塩田さんは、橋桁架設作業の説明や意見交換会の司会進行などをしっかりこなし、そのコミュ力の高さを内外に見せつけた。
――横河ブリッジという会社はどうですか?
塩田さん どの部署にも尊敬できる方がいる会社です。私が追いつける日が果たして来るのだろうかと思いつつも、新しい刺激を受けながら、毎日楽しく仕事ができる、やりがいのある会社だと思っています。
――女性の働きやすさについてはどう感じていますか?
塩田さん 「どんどん改善していこう」という会社の意思はちゃんと感じ取れていますし、今後に期待したいです。若いころに現場に出られていて、結婚出産を機にオフィス勤務になって、今もバリバリ働いている女性の先輩がいます。実際にそういう方がいるので、私としても将来の道筋が立てやすく、将来のキャリアについては、まあまあ安心しています。
――こういう資格を取りたいとか、こういう現場をやってみたいというのはありますか?
塩田さん 資格としては、まず一級土木施工管理技士を取りたいです。まだ経験年数が足りないので取れないのですが、年数が達したら取得したいです。経験したい現場としては、送り出し工法の現場です。架設計画の部署にいたとき携わったので、実際の現場を経験したいという気持ちがあります。
――竹野さん、塩田さんへの期待のコメントをお願いします。
竹野さん 私もまだ勉強中です。一緒に頑張っていきましょう。
塩田さん はい!
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性別関係なく若い人が入って頑張るのは良いものです。ただ若すぎるからの経験不足で重圧に潰されない様に上席者たちが適切に支えてあげて欲しいですね。自分の場合はいきなり任されて一切の支援が無く先方都合の無理難題な物量での少ない工期延長からの追加増減、現場事故処理等で休みなく死にそうなむちゃくちゃな現場でしただからこそ少子化でしかも不人気なこの業界に来た人は廻りが適切な支えが必要です。