建設現場に増えつつある女性技術者
以前と比べ、最近は「建設現場に若い女性が増えてきた」と言われる。
実際、建設現場に行くと、3現場に1人ぐらいの割合で、女性土木技術者の姿を目にする。その大半は20才代の若手だ。昔は男しかいなかったムサくるしい建設現場に若い女性が増えていることは、とりあえず良いことだ、というフリをすることはできる。「女性が活躍できる建設業の推進」という国土交通省のスローガンにも合致しているからだ。
ところで、現場で30才代以上の女性技術者を見たことはほとんどない。現場で会ったすべての女性に年齢を聞いて回ったわけではないので、正確なところは不明だが、会社名と氏名を思い出せるのは、1人、2人ぐらいしかいない。40才以上となると、ほぼゼロだ。
この点、それぞれの建設会社が女性技術者を積極的に採用し始めてから、まだ年数が浅いので、まだ若い女性しかいないのだろう、となんとなく考えていた。実際、そう説明する建設会社もあった。まあ、フラットに見れば、女性を採用しない一時期があったこと自体、問題なわけだが。
ところが、数年ぐらい前から、この「採用開始年数が浅いから、若い女性しかいない説」に疑問を抱くようになっている。どうもそれだけが理由ではないという気がする。もっと言えば、本当の理由はもっと根深いところにあるように思われる。
まず考えられるのは、退職だ。結婚出産を機に、会社を辞めるケースである。次が、内勤への配置転換だ。若いうちは現場に出ていたが、結婚出産を機に、現場勤務ではなく、勤務時間などの融通が利くバックオフィスに分類される部署で、主にデスクワークに従事するケースである。
現場でバリバリ働いていた女性技術者が、結婚出産の後、ふたたび現場に戻るケースは、ゼロではないが、かなりマレなようだ。
たとえば、私の場合、建設会社で女性の管理職にお会いしたことは何度もあるが、女性の現場所長さんという存在にお目にかかったことはない。もっと言えば、存在を聞いたことすらない。なお、「建築現場の所長で女性がいた」という話なら聞いたことはある。
現場に出続けるかどうか、役職に就くかどうかについては、本人の意思も大きく関わってくるので、一概にはどうしろとは言えないが、「これでいいのだ」と看過して良いことではないように思われる。なぜなら、女性の積極的登用は、国策だからだ。
ちなみに、地域建設会社の女性経営者には何人か会ったことがある。個人的には、女性の経営者がいるなら、女性の所長がいても、なんの不思議はないと思われるのだが。
女性の現場所長の話はとりあえず置いておくとして、建設業界、建設現場でのいろいろな動きを自分なりに見てきてつらつら思うのは、多くの建設会社において、現場で働くベテランの女性技術者を輩出するためのキャリアパス、ノウハウというものが、確立されていないのではないか、あっても欠けているのではないか、ということである。
性別関係なく働きにくい業界なので…
確かに若い女性技術者は見るが、所長はなかなか見ないですね。ただ、後輩が内勤をしていたが外勤がしたいといって戻ってきて、今では所長をしているみたいです。要は所長ができる会社の環境と本人のやる気の問題だと思います。
私は50代ですが現場で重機に乗っています。ここ数年ですがトイレ等も別になり昔に比べれば数段環境は良くなった様に思えます。大手ゼネコンでも女性の監督を見かける機会が増えてきました。男性には無い女性の視点工事を行ううえでの近隣への対応良いと思います。