「タカミヤプラットフォーム」でAmazonの世界観を具現化
――そこで足場業界が注目しているのが御社の次の一手です。
安田氏 現在のハード面(次世代足場)のシェアは約35%ですが、次世代足場がスタンダード化していくにつれ、次の戦略として「Iqシステム」のユーザーに対してアプリケーションの充実に踏み切りました。iPhoneをイメージしていただくと分かりやすいのですが、まずは統一したハードを普及し、そこにさまざまなアプリケーションを追加することで、ユーザーはiPhoneを手放せない環境となっています。同じ世界観を足場業界でつくりたいのです。
そこで、前中期計画からデジタルによる各種サービスを検討し、2023年5月の決算説明会で「タカミヤプラットフォーム」を発表しました。サービスの入り口では、次世代足場「Iqシステム」を購入いただき、「タカミヤプラットフォーム」に預け入れた顧客に対して、より高付加価値なサービス提供を行っていきます。
具体的には、当社のインターフェース「OPERA」を活用していきます。「OPERA」はこれまで、電話やFAXでの仮設機材の受発注対応や配送車両の手配などを、Webで24時間365日対応するというオーダーシステムとして展開してきましたが、ここに今後色々なメニューを追加してプラットフォームポータルとしていくイメージです。

「タカミヤプラットフォーム」をインターフェース「OPERA」に集約
現在、様々なアプリケーションやサービスを開発しながら、プラットフォームへと実装している最中です。たとえば、購入機材の管理・整備を代行する「OPE-MANE(オペマネ)」サービス、「Iqシステム」をユーザー間で売買できるデジタル市場「Iq-Bid(アイキュー-ビッド)」などは、従来の足場業界にはなかったものです。ほかにもさまざまなソリューションを提供していますが、今後はタカミヤプラットフォームをこれら全てのサービスの入り口として集約し、顧客は「OPERA」上で様々なサービスを利用することが可能になります。
そして、最終的には足場業界でAmazonや楽天のような世界を具現化するのが「タカミヤプラットフォーム」構想です。我々はこの「タカミヤプラットフォーム」で顧客とWIN-WINの関係を構築していくために、プラットフォームに賛同される企業のアカウントを増やしていくつもりです。
――壮大な構想ですね。
安田氏 当社はこれまで、足場など仮設機材の「開発・製造」「販売」「レンタル」「設計・施工」「管理・物流」の5つの事業を中心としたフロー型ビジネスを行ってきました。しかし今後は、「タカミヤプラットフォーム」を通じて、ソフト面とハード面の両軸を完備した新規サービス・コンテンツを提供し、外部環境に左右されないストック型ビジネスへの転換を図ります。そして、DXにより足場業界のビジネスモデルを変革し、従来の業界を一変させる破壊的なイノベーションを実現していきます。
――足場業界のゲームチェンジャーになる、と。
安田氏 従来の足場業界とは戦う領域が全く異なります。単に足場を自社で保管し、現場にレンタルするビジネスモデルはいずれ淘汰されていくでしょう。レンタル会社はプラットフォームに入ることで在庫管理が不要となり、営業だけ行えば事業が回っていきます。在庫が不要となれば、足場レンタルを新規事業として新たに参入される企業が現れる可能性もあるでしょう。
プラットフォームで足場レンタル会社再編の呼び水に
――プラットフォームに参加する顧客のイメージは、足場レンタル会社が主になるのでしょうか。
安田氏 当社がプラットフォームへ最初に参加を呼び掛けたのが、足場鳶工事業者です。足場の機材を保有し、現場で組立・解体を行っている足場鳶工事業者は、材料管理の大変さを理解されているためです。煩わしい機材管理は当社に任せていただき、自社は職人の手配や営業に専念すれば、経営的にも望ましいかたちになります。賛同いただいた鳶工事業者は「Iqシステム」を購入いただき、プラットフォームに入っておられます。
足場業界の営業スタイルは、同業他社も含めて営業スタッフが現場に足しげく通い、工事所長や現場監督と人間関係をつくってから見積もりを提出し、最後にいくら値引きするかが勝負の世界でした。結局、営業スタッフにとってはどれだけレンタル価格を安くするかの話ですから、仕事は面白くないんです。プラットフォームの普及により、付加価値を売る営業スタイル、つまり顧客の課題を解決する提案型営業に大きく変わっていくと考えています。
さらにゼネコン各社にもプラットフォームに賛同いただきたいと考えており、中堅ゼネコンの中にはプラットフォームに入られている企業もあります。また、将来的には同業のレンタル会社、あるいは別の領域から足場事業に参入したいとお考えの周辺領域企業の方々もターゲットになると考えています。
――地方のレンタル会社にも参画のメリットはあるのでしょうか。
安田氏 今、従来の枠組足場に特化されているレンタル会社は、枠組足場が経営的に足かせになっています。特に地方のレンタル会社の中には投資余力がないため、今もかなりの数の枠組足場を保有されています。
プラットフォームに入っていただくことで投資を最小限に抑制しながら、次世代足場で仕事ができる環境が整いますので、地方レンタル会社に対しても積極的に参加をお願いしていくつもりです。足場業界全体が次世代足場に切り替わっていく流れは止められませんから、これから業界の再編が起きてくると思います。その再編の受け皿としてタカミヤは大きな役割を果たしていきたいと考えています。
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